力皇猛

力皇猛：大相撲からプロレス、そしてラーメン店主へ

力皇猛氏（本名：井上猛）は、日本の元プロレスラーであり、元大相撲力士、そして実業家です。1972年12月20日、奈良県桜井市生まれ。愛称は「リキ」または「リキさん」。

大相撲時代：栄光と挫折

中学時代は野球部に所属していましたが、鳴戸親方（元横綱・隆の里）の勧誘を受け、二子山部屋に入門。1988年3月場所に初土俵を踏みます。同期には曙、貴乃花、若乃花、魁皇、和歌乃山といったそうそうたるメンバーがおり、「花の六三組」と呼ばれました。

1989年、鳴戸親方の独立に伴い鳴戸部屋に移籍。師匠との厳しい指導方法による対立がしばしば発生し、幕下時代には門限違反で自ら髷を切り落とすという出来事もありました。

1996年7月場所、ライバルでもあった琴龍と共に新入幕を果たし、戦後初の奈良県出身幕内力士となりました。強烈な上手投げを得意とし、将来を嘱望されましたが、1997年9月場所前に師匠との大喧嘩により部屋を飛び出し、そのまま引退。24歳での突然の引退は相撲界に衝撃を与え、記者会見すら行われませんでした。引退後、断髪式は相撲関係者の有志によって行われ、元大関の小錦八十吉（佐ノ山親方）が最後の鋏を入れました。

プロレスラーへの転身：数々のタイトル獲得と引退

1999年8月、全日本プロレスに入門。2000年5月、力皇猛のリングネームで正式デビュー。その後、プロレスリング・ノアに移籍し、小橋建太率いるバーニング、三沢光晴率いるWAVEに所属しました。

小橋建太氏の「チェンジ・ザ・ボディー」という言葉に刺激を受け、肉体改造に励み、相撲時代とは異なる引き締まった体格を手に入れました。持ち前の打たれ強さと怪力、そしてオリジナルの必殺技「無双」を武器に活躍。

2005年、第7代GHCヘビー級王座を獲得。GHCタッグ王座も複数回獲得するなど、プロレスラーとして成功を収めました。2005年度プロレス大賞殊勲賞を受賞。しかし、2007年には頸椎損傷により長期欠場。その後もヘルニアなどの怪我に苦しみ、2011年11月、現役引退を発表しました。2012年7月、両国国技館で引退セレモニーが行われました。

セカンドキャリア：ラーメン店主として

引退後はラーメンの道へ。新潟県燕市の有名ラーメン店「潤 燕総本店」で修業を積み、2013年12月、奈良県天理市にラーメン店「麺場力皇」をオープン。2014年には東京ラーメンショーにも参加するなど、新たな分野で活躍を続けています。

人物像

デビュー前は、小橋建太氏から「エドモンド井上」というリングネームを提案されたが、これを拒否しています。大相撲時代はオレンジ色の廻しを締めることが多く、甘党としても知られています。また、ラグビーファンであることも公表しています。

大相撲時代の成績

通算成績：307勝248敗20休
幕内成績：54勝51敗15休
* 十両優勝：2回

プロレスでの得意技

力皇猛氏の得意技は、パワーファイターとしての圧倒的な強さを象徴するものでした。オリジナル必殺技「無双」とその派生技、そして相撲経験を生かした打撃技、投げ技などが特徴的です。

力皇猛氏の歩みは、常に挑戦と変化の連続でした。大相撲、プロレス、そしてラーメン店経営と、それぞれの分野で成功を収めた彼の生き様は、多くの人々に勇気を与え続けていると言えるでしょう。

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