青柳政司

青柳政司の生涯：空手道からプロレス界へ

青柳政司は、1956年12月27日に福岡県で生まれ、後に愛知県豊田市で育ちました。幼少期から水泳に親しみ、県大会に出場するほどの腕前を持っていましたが、中学生の頃からプロレスへの憧れを抱いていました。

空手道への道

身長がプロレスラーとしては低いとされていた時代だったため、プロレスラーへの道を一旦は諦め、高校を家庭の事情で中退後、運送会社に勤務しました。しかし、会社の近所に空手道場が開設されたことをきっかけに空手道に足を踏み入れます。糸東流の道場での鍛錬を経て、東海地区の空手大会で数々の優勝を飾りました。1978年には、極真会館主催の全日本空手道選手権大会でベスト16に入るという実績を残しました。

運送会社を退職後、極真会館本部に入門しますが、わずか半年で退館。地元に戻り、弟子たちと新たに空手道場「誠心会館」を設立し、正道会館の大会などにも参戦しました。その活躍は梶原一騎の劇画『四角いジャングル』にも描かれ、格闘技界で注目を集めるようになりました。

プロレスラーへの転身

1988年の「格闘技の祭典」で佐竹雅昭に敗れたものの、翌年の同大会で大仁田厚と異種格闘技戦を行ったことがきっかけで、プロレス界との接点が生まれました。1989年10月、FMWの旗揚げ戦で大仁田と再戦し、正式にプロレスデビュー。その後、FMWを離脱し、パイオニア戦志や新日本プロレスに参戦しました。

新日本プロレスでは、獣神サンダー・ライガーとの異種格闘技戦を皮切りに、越中詩郎との抗争を繰り広げ、反選手会同盟（後の平成維震軍）を結成しました。しかし、1994年に平成維震軍を脱退し、新格闘プロレスを旗揚げ。修斗と提携し、異種格闘技色の強いプロレスを展開しましたが、団体は自然消滅しました。

その後、WWFマニアツアーや東京プロレス、レッスル夢ファクトリーなどを経て、2000年にはプロレスリング・ノアに参戦。2012年には、長年の空手道における文化教育活動が認められ、東久邇宮文化褒賞を受賞しました。その後も愛知県近郊の興行を中心に試合を続けました。

引退とその後

2013年、ノアのリングで約8年7ヶ月ぶりの勝利を挙げた際に、網膜剥離で左目を失明したことを公表しましたが、プロレス活動を続けると宣言しました。しかし、2015年にツーリング中の事故で重傷を負い、医師からリングへの復帰は不可能と宣告され、引退を表明しました。引退セレモニー後、2016年からは「魔世軍」を結成し、総裁として活動していました。

2017年には、引退を控える大仁田厚との対戦のため一夜限りの復活を果たし、その後もプロレスリング・マスターズを中心に試合を行っていました。2022年7月6日、65歳でその生涯を閉じました。

青柳政司の功績

青柳政司は、空手家としてだけでなく、プロレスラーとしても数々の功績を残しました。その激しいファイトスタイルと、プロレスへの情熱は、多くのファンを魅了しました。また、空手道における文化教育活動にも尽力し、後進の育成にも力を注ぎました。

主なタイトル

WARインターナショナルジュニアヘビー級タッグ王座

プロレス大賞

新人賞（1990年）
最優秀タッグチーム賞（1992年 w / 木村健悟&齋藤彰俊）

著書

『平成維震軍「覇」道に生きた男たち』（共著、辰巳出版、2020年）

青柳政司は、空手道とプロレスという二つの世界で、その名を歴史に刻んだ不世出の格闘家でした。

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