ダーネの戦い

ダーネの戦いについて

ダーネの戦い（Battle of Derne）は、第一次バーバリ戦争の重要な局面として、1805年4月27日から5月13日の間に繰り広げられました。この戦いは、アメリカ海兵隊とトリポリ側の海賊との間で行われた唯一の陸上での大規模な戦闘であり、アメリカ軍の最初の海外派遣での激闘として記録されています。

戦の背景

背景には、オスマン帝国の独立採算州であるトリポリとの関係がありました。アメリカ海軍はトリポリに対する制裁措置として出撃し、海上封鎖や艦砲射撃を行いましたが、トリポリ側の地理的優位に遭遇し、期待した成果を上げることができていませんでした。当時、トリポリを支配していたユサフ・カラマンリとの不和を利用しようと、アメリカのウィリアム・イートン将軍は陸路からの攻撃を提案しました。また、エジプトに亡命中のハメット・カラマンリを用いて、政権転覆を図る計画が立てられていました。

戦力の整備

1804年11月、プレスリー・オバノン指揮の下、7名のアメリカ海兵隊員がエジプトのアレクサンドリアに上陸しました。彼らの目的はハメット・カラマンリを見つけ、彼の協力を得て傭兵隊を編成することでした。数日間の努力を経て、アメリカ海兵隊は彼を発見し、約500名のキリスト教徒とイスラム教徒からなる傭兵隊を結成しました。

砂漠を越えて

傭兵隊を率いてトリポリを目指す行軍が始まりました。この行軍は約1000キロメートルにも及び、通常の隊商であれば数週間で完了する距離でした。しかし、ユサフ・カラマンリへの抵抗や、内部の対立から生じた問題に苦しんだ結果、オバノンは45日間の行軍を強いられました。沿岸経路を選んだことで、アメリカ海軍からの補給を受けながら進軍することができました。

戦闘の勃発

1805年4月27日、アメリカ海兵隊と傭兵隊がトリポリの拠点であるデルナに到達し、攻撃を開始しました。アメリカ海軍の艦砲射撃による支援もあり、デルナの市街地に突入することに成功しました。ユサフ・カラマンリは以前から報告を受けていたものの、反撃の援軍を間に合わすことができず、初日の午後までにはアメリカ軍によって守りの要だった要塞が占拠されました。

戦闘の結果と影響

この戦いの結果、アメリカ軍はトリポリに迫る力を得ました。その結果、ユサフ・カラマンリは講和に応じ、米国に対して通行料を課すことなく航海の安全を保証することを承諾しました。これにより、1805年6月10日に講和条約が結ばれ、第一次バーバリ戦争は終結しました。

アメリカ海兵隊への影響

ダーネの戦いはアメリカ海兵隊にとって、初めての国外での本格的な戦闘であり、彼らの名声を確立する機会となりました。また、この戦闘でのオバノンの指揮は、海兵隊讃歌へも引用され、今なお伝えられています。戦闘後、オバノンはハメット・カラマンリからその勇気を称えられ、特別な剣を賜っています。この剣はアメリカ海兵隊の公式装備品としても使用されており、歴史的にも重要な意味を持っています。

このように、ダーネの戦いはアメリカ海兵隊の歴史において重要な位置を占める出来事でした。

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