チェジュ航空2216便事故

チェジュ航空2216便事故の概要

2024年12月29日、チェジュ航空2216便（ボーイング737-800型機）が、韓国の務安国際空港に着陸する際、胴体着陸に失敗し、滑走路をオーバーランしました。機体は滑走路延長線上にあったローカライザーアンテナの土台に激突し、大破炎上しました。この事故により、乗員2名を除く乗客・乗員179名が犠牲となり、韓国における航空事故史上、最悪の人的被害を出す惨事となりました。

事故発生までの経緯

チェジュ航空2216便は、タイのバンコク・スワンナプーム国際空港をUTC+7の2時11分に出発し、務安国際空港へ向かいました。事故発生は現地時間9時7分頃（UTC+9）。当初、機体は滑走路01への着陸進入を試みていましたが、管制塔からバードストライクの危険を警告され、着陸を待つように指示されました。その後、操縦士からメーデーが発せられ、着陸脚が正常に展開しないまま、旋回後、北側から滑走路19への胴体着陸を試みました。しかし、機体は滑走路をオーバーランし、ILSアレイのある土手に時速200kmほどの速度で衝突、炎上しました。

事故機の情報

事故を起こした機体は、2009年8月19日に初飛行し、アイルランドのライアンエアにリースされました。2016年11月24日にリースが返却され、その後、2017年2月3日にチェジュ航空がリース契約し、運用を開始しました。事故発生2日前には、バンコクから務安へ向かう便でエンジン停止の疑いがあったものの、チェジュ航空は「特に問題ない」と回答したとされています。また、済州から北京大興への運航時には、仁川に代替着陸（ダイバート）した後、3時間後に再び出発していたことが確認されています。さらに、事故前日には長崎空港を発着する運用にも入っていました。

乗員乗客について

乗客175名のうち、2名がタイ国籍、173名が韓国国籍でした。乗客の年齢層は幅広く、最年長者は1946年生まれ、最年少者は2021年生まれでした。乗客の内訳は、男性82人、女性93人、10歳未満の子どもが5人でした。

機長は2019年からチェジュ航空に勤務し、6,820時間以上の飛行経験を持っていました。副操縦士は1,650時間以上の飛行経験がありました。客室乗務員は4名搭乗していましたが、後方ジャンプシートに座っていた2名が奇跡的に生存しました。しかし、2人とも重傷を負い、肋骨や肩甲骨、脊椎の骨折、足首や頭部の負傷を負いました。生存した客室乗務員は、事故直後の状況を思い出せないほど混乱していたとされています。

乗客の多くは、バンコクへのクリスマスパッケージツアーからの帰国者でした。ツアーを企画した旅行会社が飛行機をチャーターしていました。乗客の中には、地方自治体の現職または元職員、教育庁の職員も含まれていました。

事故後の対応

チェジュ航空は、ウェブサイトで事故について謝罪する声明を発表し、一時的にチケット購入リンクを削除しました。韓国の崔相穆大統領代行は、事故現場を訪れ、人命救助を最優先に行うよう指示しました。また、各国の首脳やローマ教皇庁も犠牲者とその家族に哀悼の意を表しました。アメリカは、国家運輸安全委員会、連邦航空局、ボーイング社の調査官を派遣し、韓国の航空鉄道事故調査委員会の調査を支援しました。

事故の影響

この事故は、2002年の中国国際航空129便墜落事故（129名死亡）を上回り、韓国国内の航空事故史上、最も多くの人命が失われた事故となりました。また、2024年に世界で発生した航空事故の中でも、最多の死者数を記録し、ボーイング737シリーズの事故としても、2番目に死者数の多い事故となりました。

この痛ましい事故は、航空安全に対する更なる意識向上と対策の必要性を強く訴えかけるものとなりました。

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