チェチェン・イングーシ自治ソビエト社会主義共和国

チェチェン・イングーシ自治ソビエト社会主義共和国

チェチェン・イングーシ自治ソビエト社会主義共和国（略称：チェチェン・イングーシASSR）は、ソビエト連邦内およびロシア連邦に属する自治共和国で、1934年から1944年、それに加えて1957年から1992年にかけて存在していました。この地域は、現在のチェチェン共和国やイングーシ共和国、1944年以前には北オセチア共和国の一部も含む面積約1万9300平方キロメートルを占めていました。首都はグロズヌイで、現在もチェチェン共和国の首都として知られています。

歴史的背景

歴史的には、元々チェチェン人とイングーシ人は同じ民族に属していましたが、ロシア帝国の民族分断政策によって1859年に2つの民族に分けられました。1860年にはチェチェン州とイングーシ州がそれぞれ設置されました。ロシア革命後の1921年、両民族を含む地域には山岳自治ソビエト社会主義共和国が設立され、その後、1922年にはチェチェン自治州、1924年にはイングーシ自治州がそれぞれ独立しました。

1934年に両自治州が統合されてチェチェン・イングーシ自治州が誕生し、1936年にはその地位が更に昇格してチェチェン・イングーシ自治ソビエト社会主義共和国となりました。第二次世界大戦の最中、1942年にはナチス・ドイツがこの地域を占領し、多くのチェチェン人が赤軍の側で戦いました。しかし、1944年にソ連がこの地域を奪還後、ヨシフ・スターリンの指示により、チェチェン人とイングーシ人は中央アジアやシベリアに強制移住され、その際に多くの人が命を失いました。この結果、同共和国は廃止され、その領土は他のいくつかの共和国に分割されてしまいました。

1957年にはニキータ・フルシチョフによるスターリン批判の影響を受け、チェチェン・イングーシ自治ソビエト社会主義共和国が再び設立され、強制移住の生存者が帰還しました。ただし、一部の地域は北オセチアに残されたままで、その後のソ連崩壊時にはイングーシ共和国がその領有権を主張し、オセチア・イングーシ紛争が勃発しました。

1990年11月には独立が宣言され、1991年5月にはチェチェン・イングーシ共和国に改名されました。1991年の10月には独立派がソ連からの独立を一方的に宣言し、その後イングーシ国も独立を表示しました。最終的には、1992年6月にイングーシ共和国の設置が正式に認められ、1月には両共和国が分割されました。

人口構成

この地域の主な住民は、チェチェン人、イングーシ人、そしてロシア人が占めていました。1989年の統計によると、チェチェン人の人口は95万6879人、ロシア人は26万9000人、イングーシ人は23万7438人でした。しかし、その後の政治的不安や紛争の影響により、多くのロシア人がこの地域を離れることとなりました。

日本においても、チェチェン・イングーシ自治ソビエト社会主義共和国の歴史は、民族の形成や動乱の中での文化の変遷を反映しており、地域の知られざる歴史を理解するための重要な要素となるでしょう。

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