山岳自治ソビエト社会主義共和国

山岳自治ソビエト社会主義共和国

山岳自治ソビエト社会主義共和国（Горская Автономная Советская Социалистическая Республика、Mountain Autonomous Soviet Socialist Republic）は、1921年1月20日から1924年7月7日までの短期間、ソビエト・ロシアに存在した自治共和国です。この地域は、ロシア革命以前はクバーニ州とテレク州の一部であり、北カフカースの民族主義者が建国した北カフカース山岳共和国の一部でした。しかし、ロシア内戦中に赤軍がこの地域を制圧し、ソビエト連邦の支配下に入りました。

歴史的背景

1918年7月7日、この地域は北カフカース・ソビエト共和国に統合されましたが、その後、1921年1月20日に山岳自治ソビエト社会主義共和国として再編されました。領域は73,000平方キロメートルを超え、人口は約80万人に達しました。

構成地域

山岳ASSRは、以下の6つの主要な地域で構成されていました。

カラチャイ地区
カバルディン地区
バルカール地区
オセチア地区
イングーシ地区
チェチェン地区

また、グロズヌイとウラジカフカスの2つの主要都市を含んでいました。さらに、テレク・コサック（スンジャ・コサック）には、スンジャ・コサック自治区が設けられました。この自治区は、イングーシ北部とグロズヌイに接する飛び地を含む地域で構成されていました。

解体と再編

山岳ASSRの解体は、その設立直後から始まりました。1921年9月1日にはカバルディン地区がカバルディン自治州として分割され、ソビエト・ロシアの直接統治下に移管されました。その後も、1922年1月12日にはカラチャイ地区がカラチャイ・チェルケス自治州に、1月16日にはバルカール地区が分割され、カバルディン自治州と統合されてカバルダ・バルカル自治州となりました。1922年11月30日にはチェチェン地区が分割され、チェチェン自治州となりました。

1924年7月7日、最高会議の布告により山岳ASSRは正式に解体され、北オセチア自治州とイングーシ自治州に分割されました。これにより、山岳ASSRは消滅しました。スンジャ・コサック自治区とウラジカフカス市は、1924年10月17日まで最高会議の直接支配下に置かれ、その後、以前の山岳ASSRの全地域とさらに2つの地域から北コーカサス地方が形成されました。

民族構成と政治的背景

山岳ASSRは、多様な民族が混在する地域でした。カフカース山脈の北側に位置し、様々な民族が古くから居住していました。そのため、連邦政府はこれらの民族の自治を考慮し、自治共和国を設立しましたが、民族間の複雑な関係やソビエト政府の政策により、短期間で解体されることとなりました。

山岳ASSRの解体は、ソビエト連邦における民族政策の一環として捉えることができます。連邦政府は、民族ごとの自治州を設けることで、民族紛争を抑制し、地域支配を安定化させようとしました。しかし、その過程で、短命な自治共和国が多数生まれることとなりました。

この地域は、その後も様々な行政区分の変更を経て現在に至っています。山岳ASSRの歴史は、ソビエト連邦の民族政策と地域行政の複雑さを物語る一例と言えるでしょう。

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