チェット・ウォーカー

チェット・ウォーカー：バスケットボールと映画界の巨星

チェット・ウォーカー（Chester Walker, 1940年2月22日 - 2024年6月8日）は、アメリカ合衆国出身の元プロバスケットボール選手であり、後に映画プロデューサー、脚本家としても活躍した人物です。NBAのフィラデルフィア・76ersとシカゴ・ブルズで中心選手として活躍し、特に1967年の76ers優勝に大きく貢献しました。引退後は映画界へ転身し、新たなキャリアを築きました。

NBAキャリア

ウォーカーは、少年時代を貧困の中で過ごしましたが、バスケットボールの才能を開花させ、奨学金を得てブラッドリー大学に進学しました。大学では3シーズンに渡って平均24.4得点、12.8リバウンドを記録し、AP通信のオールアメリカに3回選出されるなど、輝かしい成績を残しました。

フィラデルフィア・76ers

1962年のNBAドラフトで12位指名を受け、シラキュース・ナショナルズ（後のフィラデルフィア・76ers）に入団。当時、リバウンド力のある選手を必要としていたチームのニーズに合致し、ルーキーイヤーから12.3得点、7.2リバウンドを記録し、オールルーキー1stチームに選ばれました。

1963-64シーズン、チームがフィラデルフィアに移転し、フィラデルフィア・76ersと改名。中心選手のレッド・カーの負傷やリー・シェーファーの引退により、ウォーカーの重要性が増し、17.3得点、10.3リバウンドと初の平均ダブル・ダブルを達成。オールスターにも選出されました。

翌1964-65シーズンには、ウィルト・チェンバレンが加入。チーム成績は向上しましたが、ウォーカーの成績は13.2得点、6.3リバウンドに留まりました。しかし、1965-66シーズンには、チェンバレン、ハル・グリアに次ぐ第3の得点源として定着し、ビリー・カニンガムの加入もあって、チームは55勝25敗の好成績を記録。ウォーカー、チェンバレン、カニンガムのトリオはリーグ最強のフロントラインと評され、チームを強豪へと押し上げました。

1966-67シーズン、アレックス・ハナムがヘッドコーチに就任し、オフェンスの効率化を図った結果、ウォーカーはキャリアハイとなる19.3得点、8.1リバウンドを記録。チームは当時のNBA記録となる68勝13敗を達成し、プレーオフではボストン・セルティックスを破ってファイナルに進出。ファイナルではサンフランシスコ・ウォリアーズを4勝2敗で下し、優勝を果たしました。ウォーカーは、このプレーオフで平均21.7得点を記録し、ファイナルでも活躍。チームの優勝に大きく貢献しました。このシーズンの76ersは、NBA35周年オールタイムチームでNBA史上最も偉大なチームに選ばれています。

その後も76ersの中心選手として活躍しましたが、1968-69シーズン終了後、シカゴ・ブルズにトレードされました。7シーズンを過ごしたチームからの放出に衝撃を受けたウォーカーは、引退も考えましたが、最終的にブルズへの移籍を受け入れました。

シカゴ・ブルズ

ブルズでは、さらに得点力を発揮し、移籍初年度には21.5得点、7.7リバウンドを記録。1970-71シーズンには、キャリアハイとなる22.0得点、7.3リバウンド、リーグ1位のフリースロー成功率85.9%を記録し、チームは51勝31敗の好成績を収めました。ブルズは、このシーズンから4シーズン連続で50勝以上を達成し、1974-75シーズンには初の地区優勝を果たすなど、強豪チームとして時代を築きました。ウォーカーは、ボブ・ラブ、ジェリー・スローンらと共にチームを支える主力選手の一人でした。

しかし、ウォーカーが要求する20万ドルの年俸に対し、球団側が難色を示したため、関係が悪化。球団側がウォーカーのトレードや放出を拒否したため、ウォーカーはブルズとNBAを独占禁止法違反として提訴しました。裁判はウォーカー側の敗訴に終わり、1974-75シーズン終了後に現役引退を決意。ラストシーズンは膝の故障に悩まされながらも、19.2得点、5.7リバウンドを記録しました。

NBA通算成績は、13シーズン1032試合出場で、18,831得点、7,314リバウンド、平均18.2得点、7.1リバウンドでした。

2024年6月8日、カリフォルニア州ロングビーチで死去。NBAはウォーカーの死去を発表しました。享年84歳。

主な業績

NBAファイナル制覇：1967年
オールルーキー1stチーム：1963年
オールスター出場：1964年, 1966年, 1967年, 1970年, 1971年, 1973年, 1974年
フリースロー成功率1位：1971年

プロデューサー業

引退後、ウォーカーは親交のあった映画プロデューサー、ゼヴ・ブラウンの誘いにより、テレビ映画の制作に携わりました。

主な作品

The Mary Thomas Story　（1989年）
Holy Angels　（1995年）
Long Time Coming: A Black Athlete's Coming-Of-Age in America　（1995年）
Glass Shield　（1995年）

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