チェルニゴフ県

チェルニゴフ県は、帝政ロシア時代の県（グベールニヤ）の一つで、ドニエプル川の左岸に位置していました。県都は現在のウクライナの都市、チェルニーヒウ（ロシア語名：チェルニゴフ）に置かれていました。その広大な面積は約5万2千平方キロメートルに及びます。

歴史

チェルニゴフ県は1802年に、それまで存在していた小ロシア県を分割する形で誕生しました。この時、同時にポルタヴァ県も分離・新設されています。19世紀末の1897年に行われた国勢調査によれば、当時の人口は約230万人に達し、県は15の郡（ウエズド）に区分されていました。この人口は、当時の帝政ロシアにおける重要な地域の一つであったことを示しています。

しかし、チェルニゴフ県の領域はその後、変遷を遂げます。1919年には、ムグリン郡、スラジ郡、スタロドゥーブ郡、ノヴォズィブコフ郡の4つの郡が、新たに設立されたゴメリ県へと移管されることになりました。これらの郡は、チェルニゴフ県の北部に位置しており、その移管は県の地理的範囲に大きな影響を与えました。

1925年、チェルニゴフ県は県（グベールニヤ）としての役割を終え、管区（オクルグ）へと改組されました。具体的には、グルホフ管区、コノトプ管区、ネジン管区、チェルニゴフ管区の4つの管区に分割され、これらはすべてウクライナ・ソビエト社会主義共和国に属することになりました。この改組は、ソビエト連邦の行政区画再編の一環として行われ、地方行政の構造を大きく変化させました。

その後、旧チェルニゴフ県の領域は、1932年にチェルニゴフ州として再編されました。このチェルニゴフ州は、現在のウクライナのチェルニーヒウ州に相当します。帝政ロシア時代の県から、ソビエト連邦の管区、そして独立後のウクライナの州へと、その行政区画としての形態を変えながら、チェルニゴフの地は歴史を刻んできたのです。

チェルニゴフ県は、帝政ロシアの時代から、その後のソビエト連邦、そして現在のウクライナへと、時代の変遷とともにその姿を変えてきました。その歴史は、この地域の複雑な政治的、社会的な背景を反映しており、現在もその影響を色濃く残しています。

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