清瀬保二

清瀬保二（きよせ やすじ）

概要

清瀬保二は、1900年1月13日に大分県で生まれた作曲家です。1981年9月14日に生涯を閉じました。彼は、日本の近代音楽史において重要な役割を果たし、独自の音楽スタイルを確立しました。彼の作品は、ペンタトニック（五音音階）を効果的に使用し、素朴で真摯な感情を表現することで知られています。

生い立ちと音楽への道

清瀬保二は、大分県宇佐郡四日市町（現在の宇佐市）で、地元でも有力な家柄の次男として生まれました。幼少期からヴァイオリンに親しみ、音楽への関心を深めていきました。1919年、旧制松山高等学校在学中に作曲家を志し、同校を中退して上京。当初は山田耕筰に師事しましたが、その後は鹿児島にこもり、ほぼ独学で作曲を学びました。この独学の期間が、彼の独自の音楽スタイルを形成する上で重要な要素となりました。

作曲活動と音楽理論

1930年、清瀬は新興作曲家連盟の結成に参加し、日本の現代音楽の発展に貢献しました。1932年から3年間は、クラウス・プリングスハイムに音楽理論を師事し、作曲技術を磨きました。1940年には、皇紀2600年記念の委嘱を受け「日本舞踏組曲」を作曲するなど、数々の作品を発表しました。1946年には、新作曲派協会を設立し、積極的に作品を発表し続けました。彼の作品は、日本的な旋律や音階を基盤にしつつ、西洋音楽の技術を取り入れた独自のスタイルが特徴です。

音楽的特徴と影響

清瀬保二の作品は、ペンタトニックを巧みに使用し、素朴で正直な感情を表現しています。彼の音楽は、聴衆に親しみやすさを感じさせると同時に、深い感動を与える力を持っています。武満徹、佐藤敏直、仲俣申喜男、長沢勝俊など、多くの弟子を育て、日本の現代音楽界に大きな影響を与えました。また、日本現代作曲家連盟の初代委員長を務めるなど、音楽界の発展にも尽力しました。

代表作品

清瀬保二は、管弦楽曲、歌曲、合唱曲、器楽曲、映画音楽など、幅広いジャンルの作品を手がけました。代表作としては、以下のような作品が挙げられます。

管弦楽曲:
交響曲「黎明」
日本民謡の主題による幻想曲
古代に寄す
日本舞踏組曲
日本祭礼舞曲
ピアノ協奏曲
レクイエム　無名戦士
歌曲:
清瀬保二歌曲集
合唱曲:
蛇祭り行進
冬のもてこし春だから
板敷山の夜
器楽曲:
小組曲（ピアノ）
丘の春（ピアノ）
ピアノ三重奏曲第1番
第1ヴァイオリンソナタ
弦楽四重奏曲 変ロ調
尺八三重奏曲
日本楽器による八重奏曲
子供のための4つの小品（ピアノ）

映画音楽:
女の顔
お国と五平
沓掛時次郎
番場の忠太郎

晩年と遺産

清瀬保二の居住跡には、彼の功績を称える碑が建てられています。彼の音楽は、今もなお多くの人々に愛され、演奏され続けています。彼は日本の音楽史に大きな足跡を残し、その作品は後世に受け継がれていくことでしょう。

参考文献

『大分県歴史人物事典』大分合同新聞社、1996年。
佐野仁美「武満徹と戦前の「民族派」作曲家たち : 清瀬保二、早坂文雄と「日本的なもの」の認識について」『表現文化研究』第10巻第2号、神戸大学表現文化研究会、2011年3月、171-183頁、doi:10.24546/81002917

外部リンク

ピティナ・ピアノ曲事典
清瀬保二 - 日本映画データベース
清瀬保二 - allcinema
清瀬保二 - KINENOTE
* 清瀬保二 - IMDb

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