新興作曲家連盟

新興作曲家連盟について

新興作曲家連盟は、1930年から1940年にかけて活動した日本の音楽団体です。当時は「新興作曲家聯盟」と表記されていました。この団体は、日本の現代音楽の発展に大きく貢献し、後に日本現代音楽協会へと発展しました。

設立の背景と目的

1930年4月、作曲家の箕作秋吉と小松平五郎の呼びかけにより、10数名の新進気鋭の作曲家たちが集まりました。彼らは、「既成の作曲家やその協会に対抗し」、「新しい音楽」を創造したいという強い意欲を持っていました。また、作曲家同士の「親睦と励ましあい」を目的とした組織の必要性を感じ、新興作曲家連盟を設立しました。

設立声明書には、池譲、石井五郎、伊藤昇、笈田光吉、清瀬保二、小松清、小松平五郎、近藤柏次郎、斎藤秀雄、塩入亀輔、菅原明朗、鈴木二三雄、橋本國彦、松平頼則、箕作秋吉、山本直忠といった16名の作曲家が名を連ねました。

連盟の活動

連盟は、会員の作品試演会や発表会を定期的に開催し、新しい音楽の普及に努めました。1934年12月には「近代日本作曲家連盟」と改称し、さらに1935年9月には「日本現代作曲家連盟」と改称しました。この改称と同時に、国際現代音楽協会日本支部としての役割も担うことになりました。

連盟は、国内の「音楽コンクール」や「新響邦人作品コンクール」に会員の作品を積極的に出品しました。また、国際現代音楽協会が主催する国際現代音楽祭にも多くの作品を提出し、国際的な音楽交流にも貢献しました。

1940年には、会員数は作曲家67名、演奏家21名、評論家32名と大きく発展しました。しかし、太平洋戦争開戦前夜の時局下、連盟は「楽壇新体制促進同盟」に吸収される形で解散を余儀なくされました。

戦後の再出発

「楽壇新体制促進同盟」は翌1941年に「日本音楽文化協会」に改組されましたが、終戦後の1945年10月に解散しました。そして1946年2月、新興作曲家連盟の理念を受け継ぐ形で、日本現代音楽協会が再発足しました。この協会は、現在も日本の現代音楽を牽引する重要な存在です。

主な会員

新興作曲家連盟には、多くの著名な音楽家が所属していました。

作曲家: 安部幸明、池内友次郎、石井五郎、市川都志春、伊藤昇、伊福部昭、大木正夫、大沢寿人、大築邦雄、大中寅二、荻原利次、小倉朗、尾崎宗吉、尾高尚忠、紙恭輔、貴志康一、貴島清彦、清瀬保二、呉泰次郎、江文也、古関裕而、小船幸次郎、小松清、小松平五郎、斎藤秀雄、塩入亀輔、菅原明朗、高木東六、宅孝二、橋本國彦、服部正、早坂文雄、平井康三郎、平尾貴四男、深井史郎、松平頼則、箕作秋吉、守田正義、諸井三郎、山田和男 (一雄)、山田耕筰、山本直忠、吉田隆子

演奏家: 井口基成 (Pf)、井上頼豊 (Vc)、太田綾子 (Sop)、倉知緑郎 (Pf)、近衛秀麿 (指揮)、鈴木鎮一 (Vn)、関種子 (Sop)、豊増昇 (Pf)、四谷文子 (Sop)

評論家: 牛山充、太田太郎、大田黒元雄、河上徹太郎、野村光一、堀内敬三、増沢健美、山根銀二

主な演奏会・行事

連盟は、数多くの演奏会や行事を開催しました。

1930年6月16日 新興作曲家連盟第1回試演会
1930年11月22日 新興作曲家の集ひ
1931年6月22日 第1回新作曲家の夕
1932年11月28日 新進作曲家の夕
1933年3月22日 タンスマン氏レセプション
1933年10月21日 洋楽の夕 (第2回邦人作曲の夕)
1934年9月26日 チェレプニン歓迎茶話会
1935年2月14日 チェレプニン懇親会
1935年5月14日 第1回オーディション
1936年8月18日 現代日本音楽の夕
1936年12月9日 日本現代作曲家連盟第1回作品発表会
1937年3月16日 日独交換演奏会「極東音楽の夕」
1937年6月4日 日本現代作曲家連盟第3回作品発表演奏会
1937年11月15日 第1回日独作品交換演奏会「現代ドイツ音楽の夕」
1938年2月15日 日仏交換音楽会
1938年12月19日 日本現代作曲家連盟第7回定期公演「室内楽の夕」
1939年6月21日 日本現代作曲家連盟第9回作品発表会
1939年12月18日 日本現代作曲家連盟第10回作品発表会
1940年5月3日 皇紀二千六百年奉祝日本現代作曲家連盟創立10周年作品発表会第1夜 (第11回作品発表会)
1940年5月10日 皇紀二千六百年奉祝日本現代作曲家連盟創立10周年作品発表会第2夜 (第12回作品発表会)
1940年5月24日 皇紀二千六百年奉祝日本現代作曲家連盟創立10周年作品発表会第3夜 (第13回作品発表会)

参考文献

秋山龍英 編『日本の洋楽百年史』第一法規出版、1966年。
染谷周子、杉岡わか子、三宅巌 編『戦前の作曲家たち：ドキュメンタリー新興作曲家連盟：1930-1940』国立音楽大学附属図書館、1990年。
『プロフィール27：作曲家群像 新興作曲家聯盟の人々』日本近代音楽財団日本近代音楽館、1999年。
戸ノ下達也『音楽を動員せよ』青弓社、2008年。
樋口隆一、林淑姫、岡部真一郎、天沢退二郎、倉田喜弘、塚原康子、森本美恵子、末永理恵子 編著『五線譜に描いた夢：日本近代音楽の150年』明治学院大学、2013年。

関連項目

チェレプニン・コレクション

外部リンク

日本現代音楽協会（2019年4月1日閲覧）

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