チェロ協奏曲第1番 (サン＝サーンス)

チェロ協奏曲第1番 イ短調 作品33

カミーユ・サン＝サーンスによって1872年に作曲された「チェロ協奏曲第1番 イ短調 作品33」は、彼の2曲のチェロ協奏曲のうち、最初の作品にあたります。この曲はサン＝サーンスの壮年期に書かれ、同時期にはオペラ『サムソンとデリラ』、ピアノ協奏曲第4番、4つの交響詩など、数々の傑作が生み出されました。

1873年1月19日、パリ音楽院でオーギュスト・トルベックの独奏により初演されました。トルベックは当時パリ音楽院のチェロ教授であり、この作品は彼に献呈されています。サン＝サーンスは1902年にもチェロ協奏曲第2番を作曲しましたが、こちらは彼の経験を積んだ晩年の作品でありながら、第1番ほどの評価は得られず、現在では演奏される機会も稀です。そのため、単にサン＝サーンスのチェロ協奏曲という場合、一般的にはこの第1番を指します。

楽曲の特徴

この協奏曲の大きな特徴の一つは、全3楽章が切れ目なく演奏される点です。この手法はロベルト・シューマンの協奏曲でも用いられていますが、サン＝サーンスの場合はさらに徹底しており、全体が3つの部分からなる単一の楽章のように構成されています。また、各部分の構成においても、伝統的な形式にとらわれない独創性が見られます。

編成

独奏チェロ
木管楽器：フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2
金管楽器：ホルン2、トランペット2
打楽器：ティンパニ
弦楽器：弦五部

楽曲構成

演奏時間は約18分で、単一楽章の中に以下の3つの部分が含まれています。

第1部

アレグロ・ノン・トロッポ – アニマート – アレグロ・モルト – テンポ・プリモ、イ短調、2分の2拍子
自由なソナタ形式で構成されています。オーケストラの力強い一撃に続き、独奏チェロが三連符を基調とした第1主題を力強く奏でます。続いて、チェロによって緩やかな第2主題が奏でられます。再現部は大幅に短縮されており、第2主題が原調で再現されると、そのまま次の部分へと移行します。

第2部

アレグレット・コン・モート、変ロ長調、4分の3拍子
三部形式で構成されています。弦楽器の弱奏で始まる軽快なメヌエット風の部分です。主部の再現直前には、チェロによる短いカデンツァが挿入されます。

第3部

テンポ・プリモ – アン・プゥ・モワン・ヴィト – ピウ・アレグロ – モルト・アレグロ、イ短調～イ長調、2分の2拍子
第1部の第1主題が回帰して始まり、この主題を両端に置いたアーチのような構成となっています。イ長調に転じたコーダでは、第1部の小結尾に現れた主題も再現され、全曲の一体感を高めています。

参考文献

Ratner, Sabina Teller (2002) Camille Saint-Saëns 1835-1921: The instrumental works Oxford University Press
Stegemann, Michael (1991) Camille Saint-Saëns and the French Solo Concerto from 1850 to 1920 Amadeus Press

外部リンク

Cello Concerto No.1, Op.33の楽譜) - 国際楽譜ライブラリープロジェクト

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