チャドリ

チャドリは、中央アジアのイスラム圏、特にアフガニスタンで一般的に見られる女性の伝統的な衣装です。日本ではペルシア語読みの「チャドル」という名称がより一般的ですが、アフガニスタンではチャドルは頭から肩を覆う頭巾状のものを指します。アラビア語では「ハバラ」、英語では「ブルカ」とも呼ばれ、地域や宗派によってその形態は異なります。

機能

チャドリは、灼熱の砂漠での生活に適応した機能的な衣装でもあります。多くの場合、黒色の薄い絹でできており、体の線が全く出ないようにゆったりと仕立てられています。頭から全身をすっぽりと覆うことで、吹き付ける熱風や強い日差しから身を守ります。また、イスラム教の教義では、女性は夫や父親以外の男性に容姿を晒すことを禁じられており、特に髪を隠すことが重視されています。チャドリは、これらの宗教的な要請を満たす役割も果たしています。

着用の義務

チャドリの着用義務は国によって異なり、比較的規制の厳しい地域では、異教徒の女性に対しても肌の露出を禁じ、髪をスカーフで覆うように法律で定められています。一方で、ヨーロッパとの交流が深く規制が緩やかなトルコやエジプトではあまり着用されていません。しかし、サウジアラビアなどでは着用が義務付けられている場合もあります。

着こなし

外国人の目には、細かいプリーツをたっぷりとあしらったチャドリが印象的に映るかもしれません。これは実際にはベールの一種です。アフガニスタンのイスラム女性は、チャドリの下に「クルタ」と呼ばれる丈の長いチュニックと、「トンバン」と呼ばれるゆったりとした裾を絞ったズボンを着用するのが一般的です。

最も一般的なチャドリの形は、半円形の薄い絹を半球状の帽子に縫い付けたものです。前が開いて衣服が見えるタイプのものも存在します。丈はどちらもくるぶしまであり、目の部分にはメッシュが縫い付けられており、視界を確保しています。

「クルタ」は膝下までの長さの長袖チュニックで、袖や裾には美しい幾何学模様の刺繍が施されていることもあります。しかし、「クルタ」単独で着用されることはなく、必ず「トンバン」と組み合わせて着用されます。

チャドリは、単なる衣服としてだけでなく、宗教的、文化的、社会的意味を持つ、重要な存在です。その着用を通して、イスラム女性は自らの信仰を守り、伝統的な文化を尊重しているのです。

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