チャン＝フー (ミサイル駆逐艦)

USSチャン＝フー (DDG-93)

USSチャン＝フー（DDG-93）は、アメリカ海軍が誇るアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の1隻です。その艦名は、アメリカ海軍に貢献したゴードン・チャン＝フー海軍少将に由来します。

艦歴

1998年3月6日、ノースロップ・グラマン・シップ・システムによって建造契約が結ばれました。2002年1月14日にはミシシッピ州のインガルス造船所にて起工。2003年1月11日には、チャン＝フー少将の姪であるミッシェル・プナナ・チャン＝フーによって命名・進水しました。そして、2004年9月18日に就役を果たし、アメリカ海軍の一員として活動を開始しました。

チャン＝フーは太平洋艦隊に所属し、ハワイの真珠湾を母港としています。これは、太平洋地域におけるアメリカ海軍のプレゼンスを示す重要な拠点です。

海難救助

2005年10月13日、チャン＝フーはパナマ船籍の商船C-ローレルからの救難信号を受信し、救助に向かいました。C-ローレルの乗組員であった韓国人キム・スンウォンが事故で手を切断するという痛ましい事態が発生。チャン＝フーは迅速にキムをホノルルへと運び、緊急手術が行われましたが、残念ながら手の接合は成功しませんでした。キムは手術後、故郷である韓国へと帰国しました。

南シナ海での活動

2009年3月12日、チャン＝フーは南シナ海に派遣され、中国の調査船から進路妨害を受けていた音響測定艦「インペッカブル」の護衛任務に就きました。この事件は、南シナ海におけるアメリカと中国の間の緊張関係を浮き彫りにする出来事となりました。

台湾海峡通過

2023年1月5日、チャン＝フーは台湾海峡が国際海峡であることを示すため、同海峡を通過する任務を実施しました。同年6月3日には、再び台湾海峡を南から北へ通過。しかしこの際、中国人民解放軍海軍の軍艦が、チャン＝フーの進路前方をわずか140メートルという近距離で横切るという危険な妨害行為を受けました。この様子は、同行していたカナダ海軍のフリゲート「モントリオール」によって撮影されています。

アップグレード

2024年1月15日、アメリカ海軍はチャン＝フーをアップグレードすることを発表しました。具体的な変更点としては、AN/SPY-6(V)4レーダー、ベースライン10システム、AN/ALQ-32(V)7 SEWIP BlockIII電子戦システム、そして冷却システムの追加が挙げられます。これらのアップグレードにより、チャン＝フーの戦闘能力は大幅に向上することが期待されています。

チャン＝フーは、海難救助から国際的な緊張緩和まで、多岐にわたる任務を遂行してきたアメリカ海軍の重要な戦力です。今後の活躍も期待されています。

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