チャートプロッター

チャートプロッターとは

チャートプロッターは、船舶の航行を支援するために設計された電子機器で、主に船舶に搭載されます。GPSデータを用いて自船の位置を特定し、航海用の電子海図（ENC）を表示します。日本では「GPSプロッター」や「GPSプロッタ魚探」として知られ、その機能は多岐にわたります。特に、電子海図には自船の位置だけでなく、方位、速度、レーダー情報や他船の動きが示される自動船舶識別装置（AIS）情報などが包括的に統合されています。

機能と用途

チャートプロッターは、船長に航行支援を行うための重要なツールです。気象情報や潮流、風速、水深データ、魚群探知機など、さまざまなセンサーから得られる情報を集約して表示します。また、ズーム機能により、海域を異なる解像度や縮尺で表示できるため、海洋環境を把握しやすくします。さらに、情報は半透明のレイヤーで重ねて表示され、周囲の状況を視覚的に捉えやすくなっています。

普及と技術の進化

もともとチャートプロッターは大型船舶での利用から始まりましたが、1990年代以降の価格低下にともない、小型船舶やプレジャーボートにも標準装備となりました。2022年までに、これらの装置が一般的に利用されるようになりました。また、2005年からは携帯電話にGPS機能が搭載され、海図表示も可能となり、スマートフォンを使用した航法も身近になっています。ただし、スマートフォンは防水や耐衝撃性が不十分なことから、専用チャートプロッターの使用が推奨される場合が多いです。

システムの構成

チャートプロッターは、通常、単独で使用されることは少なく、商業船舶では集中船橋設備（IBS）の一部として機能します。これにより、ソナーや無線機、非常用位置指示無線標識装置（EPIRB）と連携して、効率よく船舶の管理や航行が行なえます。このシステムは、海図の更新を行なうために専用ハードウェアを用い、通常は5Hzから30Hzで画面がリフレッシュされます。

電子海図の重要性

チャートプロッターの中核をなすのは、電子海図のデータベースです。公式なベクター海図を用いることで、高精度な航行が可能になります。国際海事機関（IMO）の認証を受けている装置は、電子海図情報表示装置（ECDIS）として認定され、バックアップシステムを構成するために複数基の設置が要求されます。こうしたシステムでは、紙の海図を保持せずに航行できるため、効率的かつ現代的な船舶運用が可能となります。

法律と規制

国際航海において、総登録トン数500トン以上の船にはECDISの搭載が義務付けられており、旅客船やタンカーなどにおいては特に厳格な規制が適用されます。ただし、小型船舶については義務化されていないものの、海上保安庁では簡易型AISやGNSS機器の導入を勧めています。多くの事故が小型船舶によるものであることから、この推奨は特に重要とされています。

結論

チャートプロッターは、船舶の航行に欠かせない高度なシステムであり、安全で効率的な航海を実現するための鍵となる装置です。これにより、航海中のリスクを軽減し、全体としての航行技術の向上に寄与しています。

もう一度検索