チャーマ・ラージャ9世

チャーマ・ラージャ9世について

チャーマ・ラージャ9世（Chama Raja IX）は、1774年2月28日に生まれ、1796年4月17日に没した南インド、マイソール王国の君主です。彼は1776年から1796年までの期間にわたり王位にあり、その治世には一族の背景からの複雑な政治状況が見受けられました。

生い立ちと王位継承

チャーマ・ラージャ9世は、先王チャーマ・ラージャ8世が暗殺されると、故クリシュナ・ラージャ2世の妃、ラクシュミー・アンマンニ・デーヴィーの養子となり王位を継承しました。彼の王位継承においては、サルヴァーディカーリー（首席大臣）のハイダル・アリーが全権を握っており、実質的な権力は彼にありました。このためチャーマ・ラージャ9世は形式的な存在としての側面が強い君主でした。

治世中の重要な出来事

彼の治世中、ハイダル・アリーは1779年にカダパのナワーブとチトラドゥルガ・ナーヤカ朝を滅ぼし、王国の領土を拡大しました。また、1780年から始まった第二次マイソール戦争において、ハイダル・アリーはタミル地方に侵攻し、軍を進めてマドラスの近くまで攻め入りました。この戦争はイギリスとの争いを引き起こし、ハイダル・アリーは国の防衛を求められました。

1782年12月7日には、ハイダル・アリーが戦争中に死亡し、その後を受け継いだのが彼の息子ティプー・スルターンでした。1783年1月2日、チャーマ・ラージャ9世はティプーをサルヴァーディカーリーに任命し、彼がその地位を継ぐ形となりました。

ティプー・スルターンの時代

第二次マイソール戦争の後、ティプー・スルターンはマイソール王国のイスラーム化を進め、1786年にはムガル帝国の皇帝シャー・アーラム2世に対する名目上の忠誠を撤回しました。ティプーは自らを「パードシャー」と称し、「フーダダード」（神から与えられた国家）という国号を掲げました。この変化によりチャーマ・ラージャ9世が王位を失ったと見なされることもありましたが、実際には彼はその死に至るまで王位を維持していました。

死亡とその後

1796年4月17日、チャーマ・ラージャ9世は天然痘によりシュリーランガパトナで死亡しました。彼の死については、ティプー・スルターンによる暗殺の可能性も伝えられています。チャーマ・ラージャ9世の死後、ティプー・スルターンはオデヤ朝から新たな王を立てず、名実ともにマイソール王国の実権を掌握しました。

関連項目

• - マイソール王国
• - オデヤ朝
• - チャーマラージャナガル

これらの出来事は、チャーマ・ラージャ9世の治世が単なる形式的な権力者として終わることになった背景を示しており、彼の時代の複雑な政治情勢を浮き彫りにしています。

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