チャールズ・ゴードン＝レノックス (第6代リッチモンド公爵)

第6代リッチモンド公爵、チャールズ・ヘンリー・ゴードン＝レノックス（1818年2月27日 - 1903年9月27日）は、19世紀後半のイギリス政治において重要な役割を果たした保守党の貴族政治家です。彼はヴィクトリア朝の中期から後期にかけて、様々な内閣で閣僚の任にあたりました。

彼は後の第5代リッチモンド公爵となるチャールズ・ゴードン＝レノックスと、初代アングルシー侯爵ヘンリー・パジェットの娘キャロラインの間に、長男としてロンドンの自宅で誕生しました。幼少の頃は父が爵位を継承するまでセトリントン卿、その後自身が公爵位を継承するまでの間はマーチ伯爵の儀礼称号で呼ばれていました。教育は名門校ウェストミンスター・スクールで受けた後、オックスフォード大学クライスト・チャーチに進学しました。

大学を卒業すると政界に進み、1841年から父の死去に伴い爵位を継承する1860年まで、ウェスト・サセックス選挙区選出の保守党議員として庶民院で活動しました。1860年10月に公爵位を継承したことで貴族院議員となり、その後の政治活動の舞台を貴族院に移しました。

閣僚としては、第三次ダービー伯爵内閣期の1867年3月、前任者の辞任に伴う人事異動の中で通商大臣に就任しました。続く第一次ディズレーリ内閣でも引き続き通商大臣のポストを務めました。野党時代に入った1869年末、保守党貴族院院内総務であったケアンズ伯爵の辞任を受けて、その温厚な人柄が評価されたリッチモンド公爵が後任に選ばれます。彼は党首ベンジャミン・ディズレーリが貴族院に移籍する1876年8月までこの地位にあり、貴族院におけるディズレーリの政策を支持する役割を担いました。しかし、当時の貴族院保守党内ではディズレーリに対する影響力には微妙な側面もあり、一部からは後のソールズベリー侯爵を院内総務に推す声も根強く存在していました。

1874年2月に発足した第二次ディズレーリ内閣では、本人は陸軍大臣への就任を希望していましたが、ディズレーリがそのポストに庶民院の財政専門家を望んだため、最終的には枢密院議長および貴族院院内総務として入閣することになりました。農業問題に深い造詣を持っていたことから、この分野で内閣に貢献しました。また、1885年から1886年にかけての第一次ソールズベリー侯爵内閣においては、通商大臣と新たに設けられたスコットランド担当大臣を兼任しています。

彼はヴィクトリア女王から深く信頼され、寵愛されていたことでも知られています。その証として、1876年1月13日には連合王国貴族として初代ゴードン公爵に叙されました。これにより、ゴードン＝レノックス家は、イングランドのリッチモンド公爵、スコットランドのレノックス公爵、フランスのオービニー公爵に加え、連合王国のゴードン公爵という四つの公爵位を同時に保持するという、英国史上他に例を見ない家柄となりました。これらの広大な所領の合計面積は、28万エーカーに及んだと伝えられています。

受けた栄典は多岐にわたります。1860年に父から第6代リッチモンド公爵をはじめとする多数の爵位を継承した他、1876年にはゴードン公爵などの連合王国貴族爵位を新規に授与されました。政治家としての功績により、1867年には英国最高の勲章であるガーター勲章を授与されています。また、1859年には枢密顧問官に任命され、オックスフォード大学（1870年）およびケンブリッジ大学（1894年）からは名誉博士号を授与されました。

1843年にはアルジャーノン・グランヴィルの娘フランセス・ハリエット・グランヴィルと結婚し、六人の子供をもうけました。長男のチャールズ・ヘンリー・ゴードン＝レノックスは後の第7代リッチモンド公爵となり、父の後を継いで政治家となりました。他の息子たちも軍人や政治家としてそれぞれの道を歩みました。

チャールズ・ヘンリー・ゴードン＝レノックスは、85歳の生涯を終え、1903年9月27日にスコットランドのマレー地方にあるゴードン城で安らかに死去しました。

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