チャールズ・ネーピア・ヘミー

チャールズ・ネーピア・ヘミー（Charles Napier Hemy RA、1841年5月24日 - 1917年9月30日）は、イギリスの画家であり、海洋画や沿岸の風景を描いたことで知られています。彼は1881年からコーンウォールの海岸沿いの街、ファルマスで生活し、同じコーンウォールの漁村、ニューリンに集まった「ニューリン派」の画家の一人として活躍しました。

生涯

ヘミーはニューカッスル・アポン・タインで生まれましたが、1852年に家族と共にオーストラリアに移住し、2年間メルボルンで過ごしました。1855年にイギリスに戻り、船員や修道士として働いた後、画家になることを志し、ニューカッスル美術学校でウィリアム・ベル・スコットに師事しました。1866年に結婚した後、ベルギーのアントウェルペンで歴史画家のヘンドリク・レイス（またはアンリ・レイス）に師事し、さらに画技を磨きました。

1865年より、ヘミーは王立美術院の展覧会に作品を出展するようになります。1870年からはロンドンに居を構えましたが、1881年にコーンウォールのファルマスに移住し、生涯をそこで過ごしました。コーンウォールでの生活を通じて、彼は海洋画や、ラファエル前派の影響を受けた沿岸風景を多く描きました。彼には、ジェームズ・ティソ、エドガー・ドガ、ジェームズ・マクニール・ホイッスラー、ヘンリー・スコット・テュークなどの画家仲間がいました。

ヘミーは、その才能が高く評価され、1890年に王立水彩画家協会の準会員、1897年に正会員に選出されました。また、1897年には王立美術院の準会員、1910年には正会員に選ばれています。

作品

ヘミーの作品は、イギリスの海岸や海を舞台にしたものが多く、波の動きや光の表現に優れています。彼の作品は、当時のイギリス社会における海洋への関心の高まりを反映しているとも言えるでしょう。

日本では、ヘミーの作品を所蔵する美術館は多くありませんが、記念艦「三笠」が「水雷艇夜戦の図」（1905年）を所蔵しています。この作品は、旧松方コレクションの一つで、彼の代表作の一つとして知られています。

水雷艇夜戦の図：縦151.8cmx横259cm

ニューリン派との関わり

ニューリン派は、19世紀後半にコーンウォールのニューリンに集まった画家たちのグループです。彼らは、印象派の影響を受け、自然光の下で日常の風景や人々を描きました。ヘミーもファルマスに住んでいたことから、ニューリン派の画家たちと交流があり、その影響を受けました。しかし、ヘミーの作風は、ニューリン派の画家たちとは異なり、より写実的で、海洋に対する深い知識と愛情が感じられます。

チャールズ・ネーピア・ヘミーは、海洋画家として、イギリス美術史に名を残す画家の一人です。彼の作品は、現在も多くの人々に愛され、鑑賞されています。

参考文献

Margaret Powell: Master of the Sea: Charles Napier Hemy, Alison Hodge 2004, ISBN 978-0-906720-37-0

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