チャールズ・W・ギルモア

チャールズ・ホイットニー・ギルモア：20世紀アメリカ古生物学を代表する巨人

チャールズ・ホイットニー・ギルモア (1874年3月11日 - 1945年9月27日) は、アメリカの古生物学者として20世紀初頭の古生物学研究に多大な貢献をした人物です。彼は、アメリカ合衆国国立博物館（現在の国立自然史博物館）に長年勤務し、北アメリカやモンゴルで発見された多くの恐竜化石の研究で知られています。その業績は、数々の新種の恐竜の命名、そして膨大な数の学術論文の執筆に表れています。

カーネギー自然史博物館から国立自然史博物館へ

ギルモアは1901年からカーネギー自然史博物館で古生物学者としてのキャリアをスタートさせました。この年、若い竜脚類の化石を発見し、翌年にはアパトサウルスとして分類されました。その後、1903年にアメリカ合衆国国立博物館（現在のスミソニアン協会の一部である国立自然史博物館）に移籍。そこで彼を待ち受けていたのは、オスニエル・チャールズ・マーシュが「化石戦争」中に収集した膨大な化石コレクションでした。これらの化石は当初イェール大学のピーボディ自然史博物館に保管されていましたが、スペースの問題から国立博物館に移送されたのです。

エドモントサウルスとトリケラトプスの骨格復元

国立博物館での初期の仕事として、ギルモアはアシスタント・プレパレーターであったノーマン・H・ボス（後に博物館の主任プレパレーターとなる）と共に、エドモントサウルスの完全な骨格標本の復元作業を行いました。さらに、二人によって史上初めてトリケラトプスの骨格復元が完成し、1905年に公開されたことは特筆すべき業績です。1907年にはアラスカ探検にも参加し、更新世の脊椎動物化石の調査を行いました。ワシントンD.C.に居を構えた頃からは、「恐竜化石の管理人」と呼ばれるようになりました。

キュレーターとしての活躍と探検

1924年には、古脊椎動物学キュレーターに昇進しました。キュレーター時代には、ユタ州やワイオミング州を中心に16回もの探検調査を行いました。その調査対象は主に古脊椎動物の化石でしたが、モンタナ州ツーメディスン累層での発掘調査も複数回実施しています。 一般市民から持ち込まれた化石の同定作業も彼の重要な業務の一つでした。例えば、1938年には石灰石の採石場で見つかった化石が、更新世のバク、クマ、そして絶滅した北米のライオンの歯であることを同定しています。

研究論文と恐竜命名

ギルモアは非常に多作家としても知られ、170本以上の学術論文を発表しました。その中にはアパトサウルスや肉食恐竜、鎧竜の骨学に関するモノグラフ（総説論文）も含まれています。彼はアラモサウルスをはじめ、アレクトロサウルス、アーケオルニトミムス、バクトロサウルス、ブラキケラトプス、キロステノテス、モンゴロサウルス、パロサウルス、ピナコサウルス、スティラコサウルス・オヴァトゥス（現ルベオサウルス）、テスケロサウルスなど、多くの恐竜に学名を命名しました。

スミソニアンからの引退とその後

1945年にスミソニアン協会を引退し、間もなくして亡くなりました。彼の功績は、ギルモアの名を冠した絶滅種、例えばスッポンの Gilmoremys や恐竜の Shuangmiaosaurus gilmorei、Richardoestesia gilmorei などに今も受け継がれています。彼の研究は古生物学の発展に大きく貢献し、現代においても高く評価されています。彼の残した論文や化石標本は、今日の古生物学研究においても貴重な資料として活用され続けています。

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