チョガ・ザンビール

チョガ・ザンビール：古代エラムの壮大な宗教都市

チョガ・ザンビール（Tchoga Zanbil）は、イランのフーゼスターン州に位置する古代エラム人の複合遺跡です。紀元前1250年頃、ウンタシュ・ナピリシャ王によって、インシュシナク神への崇敬を込めて建設されました。この遺跡は、メソポタミア地方以外では数少ないジッグラトを有することで知られています。

歴史

元々「ウンターシュの街」を意味するドゥル・アンタシュと呼ばれたこの都市は、祭司以外の居住者は少なかったと考えられています。チョガ・ザンビールは、三重の壁で囲まれた構造を持ち、内側から順に、主神のためのジッグラト、副神のための寺院群、そして王宮や墓所といったエリアに分かれていました。

ウンタシュ・ナピリシャ王の死後、都市の拡張は停止しましたが、紀元前640年にアッシリア王アッシュールバニパルによって破壊されるまで、放棄されることはありませんでした。遺跡に残る多数の寺院から、ウンタシュ・ナピリシャ王は、高地エラムと低地エラムを結びつける新しい宗教拠点を築こうとしていたのではないか、と推測されています。

構造

チョガ・ザンビールの中心をなすのは、巨大なジッグラトです。このジッグラトは、神々への捧げ物を収める貯蔵庫を併設した寺院として建設されました。二番目の層には、主神に次ぐ神々のための11の寺院が建てられました。当初は22の寺院が計画されていましたが、ウンタシュ・ナピリシャ王の死によって建設は中断されました。最も外側の層には、王宮、葬祭場、そして王室の墓がありました。

世界遺産

1951年から1962年にかけて行われた考古学調査によって、チョガ・ザンビールの全貌が明らかになりました。保存状態の良いジッグラトは、1979年にイラン初の世界遺産として登録されました。

登録基準

チョガ・ザンビールは、以下の世界遺産登録基準を満たしています。

(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠であること。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例であること。

チョガ・ザンビールは、古代エラム文明の宗教的、文化的中心地として重要な役割を果たしたことを物語る貴重な遺跡です。その壮大な規模と独特の建築様式は、訪れる人々を魅了し続けています。

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