チョロン地区

チョロン地区：ホーチミンの中華街

チョロン地区は、ベトナムのホーチミン市に位置する、国内最大規模の中華街です。ベトナム語で「大市場」を意味する「Chợ Lớn」と名付けられ、中国語では「堤岸」と呼ばれています。この地区は、ホーチミン市の5区と6区にまたがり、チャンフンダオ通りがメインストリートとして賑わっています。市内中心部からはやや離れていますが、多くの観光客が訪れる人気のスポットです。

歴史

チョロン地区の歴史は、1778年に広南国を支援していたビエンホアの華人たちが、西山朝の軍隊の報復を避けて移住してきたことに始まります。彼らはこの地に新しい生活を築き、独自の文化を形成してきました。1975年以前の南ベトナムには約120万人の華人が在住しており、そのうち110万人がサイゴン周辺、さらに70万人がチョロンに集中していました。

しかし、ベトナム戦争終結後の社会主義化政策や中越戦争前夜の人種的緊張により、多くの華人が国外へ流出しました。1978年にはチョロンの華人人口は10万人まで減少しましたが、ドイモイ政策以降、帰国者が増え、現在は約50万人まで回復しています。現在、ホーチミン市に住む華人のほとんどがチョロンに居住しています。

地理

チョロン地区は、ホーチミン市の中心部から少し離れた場所に位置し、5区と6区にまたがって広がっています。メインストリートであるチャンフンダオ通りは、常に活気に満ち溢れています。また、南側には運河が流れ、水上交通も利用されています。この地区は、その独特な景観と文化的な魅力から、観光客に人気があります。

観光

チョロン地区の最大の魅力は、ベトナムにいながら中国の雰囲気を楽しめることです。中華料理店や仏教寺院が数多く存在しますが、それらは中国とベトナムの文化が融合した独特の雰囲気を持っています。市場の北側には、チョロンバスターミナルがあり、ベンタイン市場前のサイゴンバスターミナルと並ぶ、ホーチミン市バス網の主要ターミナルとなっています。

ビンタイ市場

チョロン地区の西部に位置するビンタイ市場（Chợ Bình Tây）は、地元の人々や観光客で賑わう巨大な市場です。かつては旧街市と呼ばれる古い市場がありましたが、火災で焼失したため、現在の新街市が建てられました。この市場は、ベンタイン市場と同規模の広さを誇り、2階建ての建物の中庭を囲むように店舗が並んでいます。通路は狭く、人とすれ違うのも困難なほどですが、商品の充実度と価格の安さが魅力で、多くの人々が訪れます。買い物には価格交渉が必要で、英語はあまり通じませんが、その活気は観光客にも人気があります。市場の周辺には多くの露店も出ており、常に賑わっています。営業時間は午前6時から午後5時30分までですが、店舗によって異なります。

参考情報

チョロン地区は、映画『愛人/ラマン|愛人_ラマン』の舞台としても知られています。また、タイのバンコクにあるヤワラー通りは、チョロン地区と同様に中華街として有名です。

チョロン地区は、その歴史、文化、そして活気あふれる市場を通じて、ホーチミン市を訪れる人々に忘れられない体験を提供しています。

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