チルグテイ

チルグテイ：チンギス・カンに仕えたスルドス氏出身の千人隊長

チルグテイ（Čilgütei）は、13世紀初頭、チンギス・カンに仕えたスルドス氏出身の千人隊長です。『元朝秘史』には出児格台／赤勒古台と記されています。また、チルグダイ（Čilgudai）、チュルゲテイ（Čülgetei）とも呼ばれます。

生い立ちとテムジンへの参加

チルグテイが属するスルドス氏は、モンゴル部の中でも弱小な氏族であり、12世紀末には有力なタイチウト氏に隷属民として従属していました。

『元朝秘史』によると、チルグテイはタガイ、タイチウダイらとともにタイチウト氏を見限り、キヤト・ボルジギン氏のテムジン（後のチンギス・カン）の勢力に参加したと伝えられています。当時、テムジンは勢力を拡大しており、彼に надежда を託したのでしょう。

ケシク（親衛隊）への任官

テムジンの勢力に参加した際、チルグテイはジョチ・カサルとともに、「荒ぶる者はその項を斬れ　驕れる者はその胸を刺せ」という言葉とともにケシク（親衛隊）のイルドゥチ（太刀持ち）に任ぜられました。これは、テムジンからの信頼を得て、側近として重用されたことを示しています。

千人隊長への昇進とその後

1206年、モンゴル高原の統一とモンゴル帝国（イェケ・モンゴル・ウルス）建国を成し遂げたチンギス・カンによって、チルグテイは千人隊長に任ぜられました。『元朝秘史』の功臣表では14位に列せられており、その功績が認められていたことがわかります。

しかし、これ以後のチルグテイの動向については、詳しい記録が残されていません。千人隊長として帝国の拡大に貢献したのか、あるいは病没したのか、その後の足跡は謎に包まれています。

まとめ

チルグテイは、弱小氏族の出身ながら、チンギス・カンの勢力に参加し、その側近として、そして千人隊長として活躍した人物です。彼の история は、モンゴル帝国の成立と拡大の過程において、多くの人々が様々な役割を果たしたことを物語っています。


参考文献

志茂碩敏『モンゴル帝国史研究 正篇』東京大学出版会、2013年
村上正二訳注『モンゴル秘史 1巻』平凡社、1970年
村上正二訳注『モンゴル秘史 2巻』平凡社、1972年
村上正二訳注『モンゴル秘史 3巻』平凡社、1976年

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