スルドス

スルドス氏とは：モンゴル帝国の歴史を彩った一族

スルドス（Suldus）は、モンゴル部を構成していた遊牧集団の名前です。『元朝秘史』では速勒都思、『集史』ではسولدوس（Sūldūs）と記録されています。

スルドス氏の出自

スルドス氏は、アラン・ゴアを祖としないドルルギン氏族に属していました。起源に関する記録はほとんど残っておらず、元来はウリヤンハンなどと同様に、ボルジギン氏に征服された先住民だったと考えられています。モンゴル部内では比較的小規模な氏族であり、タイチウト氏やキヤト氏といった有力氏族に従属する人々もいました。

『集史』によれば、イルドルギン氏族はスルドス氏族から分かれた氏族であるとされています。

チンギス・カンとの関わり

12世紀中頃、カブル・カンがモンゴルを統一した後、モンゴル部内ではタイチウト氏とキヤト氏による主導権争いが激化していました。キヤト氏の指導者イェスゲイ・バアトルが亡くなると、タイチウト氏はキヤト氏の人々を連れ去り、イェスゲイの遺児であるテムジン（後のチンギス・カン）は困窮した生活を送ることになります。

成長したテムジンを警戒したタイチウト氏の首長タルグタイ・キリルトクは、テムジンを襲撃。捕らえられたテムジンが脱走を試みた際、タイチウト氏に隷属していたスルドス氏のソルカン・シラがこれを助けました。この出来事が、テムジン（後のチンギス・カン）とスルドス氏の関係を深めるきっかけとなります。

ソルカン・シラ一族はその後もタイチウト氏に仕え続けましたが、1290年代初頭には、ベスト氏のジェベやジャライル部のジョチ・チャウルカンらとともにチンギス・カンの陣営に加わりました。特に、ソルカン・シラの子チラウンは数々の功績を挙げ、「四駿」と称される最高幹部にまで昇りつめました。チラウンの一族は、大元ウルスやフレグ・ウルスにおいても名家として繁栄を続けたのです。

スルドス氏出身の主な人物

スルドス氏からは、モンゴル帝国の拡大と繁栄に貢献した多くの人物が輩出されました。

ソルカン・シラ家
ソルカン・シラ（千人隊長）
チラウン・バートル
スドン・ノヤン
カジュダル
サルタク・ノヤン
ブルジャ（万人隊長）
スンジャク・ノヤン（極位御家人）
トダン
マリク
チュバン（万人隊長）
アミール・ハサン
テムル・タシュ
シャイフ・ハサン
マリク・アシュラフ
ダムシャク・ホージャ
シャイフ・マフムード
アラカン
ソグドゥ
タングタイ
ガインドゥバル
ナドル・ビチクチ
チャラン
ウクナ
トク・テムル
オルク・ブカ
チンバイ
タガイ家
タガイ・バアトル
ブカ
アタカイ
アリマン
トグリル家
トグリル
チャラン・バウルチ
チルグテイ家
* チルグテイ


スルドス氏は、モンゴル帝国の成立と発展に大きく貢献した氏族の一つであり、その歴史はモンゴル帝国の歴史と深く結びついています。

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