チルトン・プライス

チルトン・プライス：カントリーとポップを繋いだ女性ソングライター

チルトン・プライス（1913年12月25日 - 2010年1月14日）は、20世紀を代表するアメリカのソングライターの一人です。彼女は、特にカントリー・ミュージックの分野で数々のヒット曲を生み出し、その作品はポップ・ミュージックとしても広く愛されました。彼女の才能は、ジャンルを超えて多くの人々に感動を与え、音楽史にその名を刻んでいます。

生い立ちと音楽との出会い

ケンタッキー州のファーン・クリーク（後にルイビルに編入）近郊で、弁護士の父チェスリー・ハンター・シアシーとピアニストの母リリアン・シアシーの間に、チルトン・シアシーとして生まれました。幼い頃から音楽に囲まれた環境で育ち、5歳の時に、音楽家である父親からピアノのコードを教わりました。父親は楽譜を読むことはできませんでしたが、彼女の音楽的な才能をいち早く見抜き、その才能を伸ばすためのきっかけを与えました。

その後、ルイビル大学で音楽を専攻し、音楽の専門的な知識と技術を身につけました。1930年代から1940年代にかけては、ルイビル・オーケストラ（当時 Louisville Philharmonic Society）でヴァイオリン奏者として活躍しました。オーケストラでの経験は、彼女の音楽性をさらに豊かにし、作曲家としての基礎を築きました。

ソングライターとしてのキャリア

ルイビルのラジオ局WAVE（後のWGTK (AM)）で音楽司書として働いていた頃、ピー・ウィー・キングとレッド・スチュワートに出会いました。趣味で作詞作曲をしていた彼女は、自作曲を彼らに見せたところ、彼らはその才能に感銘を受け、出版を勧めました。商業的な音楽界での経験がほとんどなかった彼女は、彼らに部分的なクレジットを与え、「スロー・ポーク (Slow Poke)」と「ユー・ビロング・トゥ・ミー (You Belong to Me)」はキング/スチュワート/プライスの連名でクレジットされました。

1951年に彼女が書いた「スロー・ポーク」は、スチュワートがボーカルを務めたキングの演奏で大ヒットとなりました。「ユー・ビロング・トゥ・ミー」は、ジョー・スタッフォードによって歌われ大ヒットした後、デュプリーズによってカバーされました。自身の書いた曲のクレジットが連名扱いとなったことについて、プライスは満足しており、そのおかげでブレイクできたことに感謝していたといいます。

その後、彼女は自身の名義で曲を書き続け、1954年の「Never Look Back」はドリス・デイが映画『情欲の悪魔 (Love Me or Leave Me)』の中で歌い、アメリカ合衆国ではトップ20入りを果たしました。

私生活と晩年

ルイビルの実業家ロバート・L・プライスと65年間の結婚生活を送り、娘ひとり、孫ふたり、曾孫7人に恵まれました。2000年には夫に先立たれましたが、彼女の音楽への情熱は衰えることなく、晩年まで音楽を愛し続けました。2010年1月14日にルイビルで96歳で死去しましたが、彼女の音楽は今もなお、多くの人々に愛され続けています。

チルトン・プライスの音楽は、カントリー・ミュージックとポップ・ミュージックの架け橋となり、時代を超えて人々の心に響く普遍的な魅力を持っています。彼女の才能と謙虚さ、そして音楽への情熱は、後世の音楽家たちに大きな影響を与え、彼女の作品は永遠に語り継がれるでしょう。

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