チワワ太平洋鉄道

チワワ太平洋鉄道（Chepe）とは

チワワ太平洋鉄道（Ferrocarril Chihuahua al Pacífico）、通称「El Chepe」は、メキシコ北西部のチワワ州チワワと太平洋沿岸のシナロア州ロスモチスを結ぶ、全長約650kmの鉄道です。

概要

この鉄道は、37の橋と86のトンネルを通り抜け、バランカ・デル・コブレ（銅峡谷）などの壮大な峡谷地帯を横断します。標高差が非常に大きい路線としても知られており、ディビサデロ駅付近では海抜2,400mに達します。急行列車での片道所要時間は約15時間。

2008年現在、メキシコで定期旅客列車を運行している唯一の路線であり、地元住民の生活を支えるとともに、重要な観光資源となっています。車窓から見下ろすバランカ・デル・コブレの眺めは息をのむほど美しく、「世界で最も景観の良い鉄道」と称されることもあります。

歴史

チワワ太平洋鉄道の建設は1880年に遡ります。当時の大統領マヌエル・ゴンサレスが、アメリカのアルバート・キンゼー・オーウェンによる建設計画を承認しました。しかし、険しい地形と建設費の高騰により工事は難航し、全線開通したのは1961年でした。

1998年、メキシコ国鉄の分割民営化に伴い、運営はフェロメックス（メキシコ鉄道グループ）に引き継がれました。

急行客車は、1976年に日本で製造・輸入された近畿車輛製の冷房付き軽量客車で、日本の14系座席車をベースにしています。当初はAU13形クーラーを搭載していましたが、近年ではメキシコ三菱電機製の業務用エアコンに換装されています。

運行形態

現在、以下の2種類の定期列車が1日1往復運行されています。

普通列車 (Clase Económica)：地元住民向けの列車で、通常の駅のほか、50箇所以上ある簡易駅でも乗降可能です。
急行列車 (Primera Express)：観光客向けの列車で、スフラヒオ駅、ロレト駅、ラ・フンタ駅には停車しません。全車両が一等車で、運賃は普通列車の約2倍です。

駅一覧

ロス・モチス駅 (Los Mochis)
スフラヒオ駅 (Sufragio)
エル・フエルテ駅 (El Fuerte)
ロレト駅 (Loreto)
テモリス駅 (Temoris)
バウィチボ駅 (Bahuichivo)
クイテコ駅 (Cuiteco)
サン・ラファエル駅 (San Rafael)
ポサダ駅 (Posada)
ディビサデロ駅 (Divisadero)：展望台からバランカ・デル・コブレを一望できます。
ピトレアル駅 (Pitorreal)
クリール駅 (Creel)
サン・フアニト駅 (San Juanito)
ラ・フンタ駅 (La Junta)
クアウテモック駅 (Cuauhtémoc)
チワワ駅 (Chihuahua)

観光のポイント

チワワ太平洋鉄道は、その車窓からの眺めが最大の魅力です。特に、バランカ・デル・コブレ（銅峡谷）の壮大な景観は必見で、ディビサデロ駅には展望台が設けられています。クリール駅周辺は観光拠点となっており、周辺の村々を訪れるツアーなども催行されています。

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