チーズはいただき

『チーズはいただき』（Speedy Gonzales）は、1955年に制作されたワーナー・ブラザースの短編アニメーション映画です。メリー・メロディーズシリーズに属し、同年のアカデミー賞短編アニメーション映画賞を受賞した作品としても知られています。

舞台はメキシコの国境地帯。この地域に住むネズミたちは、深刻な食糧難に陥っていました。すぐ近くのチーズ工場は、彼らの夢の楽園。しかし、獰猛な猫シルベスターが厳重に警備しているため、簡単には近づけません。ネズミたちは何度も挑戦しますが、シルベスターの餌食となり、ソンブレロの山が築かれるほどでした。

窮地に陥ったネズミたちは、伝説的なスピードスター、スピーディー・ゴンザレスに助けを求めることを決断します。スピーディーは、彼らが経営する射撃場で発見され、快く彼らの依頼を引き受けました。

スピーディーは、その驚異的なスピードを活かして国境を越え、チーズ工場へと侵入します。待ち構えていたネズミたちは、スピーディーの到着を熱狂的に歓迎しました。スピーディーは、次々とチーズを工場から運び出し、ネズミたちは歓喜に沸きます。

これに対し、シルベスターはスピーディーを阻止しようと、あらゆる策略を駆使します。しかし、スピーディーの圧倒的なスピードの前に、ことごとく失敗に終わります。

スピーディーは、工場のチーズを全て運び出すことを宣言します。これには業を煮やしたシルベスターは、工場から全てのチーズを運び出し、その下にダイナマイトを設置。スピーディーに「取ってみるものなら取ってみろ」と挑発します。ダイナマイトが爆発すると、大量のチーズが空からネズミたちに降り注ぎ、ネズミたちは大喜びします。一方、シルベスターは悔しさのあまり、電信柱に激突してしまいます。

興味深いことに、この作品では、スピーディーがシルベスターを嫌っている様子は描かれていません。むしろ、ある種の好意さえ感じているような描写も見られます。

この作品は、スピーディー・ゴンザレスにとって2作目の作品であり、この作品から彼のデザインに変更が加えられています。また、珍しいことに、シルベスターがネズミを捕食するシーンも描かれています。

スピーディー・ゴンザレスのデビュー作は1953年の『Cat-Tails for Two』ですが、この作品では別の猫と対決しています。シルベスターとの共演は、この『チーズはいただき』が初めてとなります。1965年以降は、ダフィー・ダックとの共演が多くなります。

『チーズはいただき』は、スピーディー・ゴンザレスの象徴的な作品であり、彼の魅力と、シルベスターとの対比によって生み出されるユーモラスな展開が、高い評価を得ています。監督はI・フレレング、製作総括はエドワード・セルツァー、アニメーション製作はゲリー・チャイニクィー、テッド・ボーンニックソン、アーサー・デーヴィス、レイアウトはホーリー・プラット、脚本はウォーレーン・フォスター、背景画はアーヴ・ワイナー、音楽はカール・スターリングが担当しました。スピーディーの声はメル・ブランク、日本語吹き替えは三ツ矢雄二が担当し、シルベスターの声はメル・ブランク、日本語吹き替えは江原正士が担当しています。

もう一度検索