ツィゴイネルワイゼン (映画)

映画『ツィゴイネルワイゼン』 - 概要と詳細

『ツィゴイネルワイゼン』は、1980年に公開された日本映画で、鈴木清順が監督を務めました。原作として内田百閒の短編小説「サラサーテの盤」を基に、4人の男女が運命的に交錯する物語が展開されます。映画は、現実と幻想の狭間に存在する妖艶な世界へ視聴者を誘います。特に、サラサーテが演奏する「ツィゴイネルワイゼン」のSPレコードが物語の重要な要素となり、登場人物たちの心情や関係性を象徴的に表現しています。

映画は、第54回キネマ旬報ベストテンで1位を獲得し、第31回ベルリン映画祭では特別表彰を受けました。また、第23回ブルーリボン賞で最優秀監督賞、第4回日本アカデミー賞で最優秀作品賞など、数々の受賞歴があります。上映時間は2時間24分で、1980年にシネマ・プラセット作品として公開されました。

『ツィゴイネルワイゼン』は、同監督の『陽炎座』（1981年）や『夢二』（1991年）と共に「大正浪漫三部作」として知られています。2012年1月14日には、ニュープリントによるリバイバル上映が行われ、鈴木清順の独特の映像美と物語の魅力が再び注目されました。

ロケーションと美術

ロケは、鎌倉で撮影されました。特に、釈迦堂切通しや光明寺、旧有島生馬邸などの美しいロケーションが、映画の視覚的な印象を強めています。これらの自然の風景は、映画の幻想的なテーマと相まって独特の美しさを演出し、観客を惹きつける要素の一つとなっています。

特集上映と4Kリマスター

2023年11月11日、鈴木清順の生誕100周年を記念して、浪漫三部作が4Kリマスター化され、「SEIJUN RETURNS in 4K」として全国の劇場で特集上映されました。このイベントにより、新しい世代の観客にも彼の作品が広く知られる機会となりました。

物語のあらすじ

物語は、中砂という名の旅人がさすらうところから始まります。彼は、親友の靑地と共に、最近自殺で弟を亡くした芸者小稲と出会います。中砂はその後、名家の娘である園と結婚し、彼女の美しさが小稲に似ていることが明らかになります。やがて中砂の家に娘が生まれる一方で、彼の生活には不穏な影が忍び寄ることになります。

中砂は自由気ままな旅を続ける中、再び小稲との関係に戻りつつも、彼自身の人生は様々な試練に直面することになります。彼の妻である園の死や、再び交わる小稲との関係は、物語全体を通じて複雑な感情を呼び起こします。中砂の最後は予期せぬ事故によって訪れますが、その後の展開も衝撃的で、彼の人生の相反する側面が描かれています。

キャストInformation

この作品のキャストには、原田芳雄（中砂糺役）、大谷直子（中砂園および小稲役）、大楠道代（靑地周子役）、藤田敏八（靑地豊二郎役）などが名を連ねています。映画には、鈴木清順独特の作風がこの豪華なキャストによってより引き立てられています。

『ツィゴイネルワイゼン』は、日本映画の中でも特に評価されている名作の一つで、観る者に強い印象を残す作品です。

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