ツェッペリンNT

ツェッペリンNT：新技術を導入した半硬式飛行船

ツェッペリンNTは、ドイツのフリードリヒスハーフェンに拠点を置くルフトシフ・ツェッペリン（旧ツェッペリン飛行技術会社）で製造されている最新鋭の半硬式飛行船です。NTは「Neue Technologie（新技術）」の略であり、その名の通り、従来の飛行船の技術を革新した様々な特徴を備えています。

開発の背景

ツェッペリンNTを開発・製造したルフトシフ・ツェッペリン社は、かつて巨大な硬式飛行船を製造していた名門企業です。硬式飛行船のフレーム製造技術を応用し、パラボラアンテナなどの製造を手掛けることで、その技術と伝統を現代に受け継いできました。

設計

船体

ツェッペリンNTの船体は、全長75m、最大幅19.8m、高さ17.4m、体積8,225立方メートル。内部には不燃性のヘリウムガスが充填されています。歴史的なツェッペリン飛行船が硬式構造であったのに対し、ツェッペリンNTは半硬式構造を採用しています。これにより、軽量化と高い強度を両立させています。

船体は、3層に重ねられたPVF、ポリスチレン、ポリウレタンを熱で接合した複合素材で構成されており、気嚢と一体化しています。さらに、繊維強化プラスチック製の三角形トラスを内部に組み込むことで、船体全体の剛性を高めています。このトラス構造は、重量1,000kgにもなります。

推進システム

ツェッペリンNTは、4基のプロペラを搭載しています。船体左右のプロペラと尾部のプロペラを制御することで推進力を得て、最高時速125kmでの飛行が可能です。尾部に設置された2基のプロペラのうち1基は方向転換用であり、方向舵と組み合わせることで、従来の飛行船よりも小回りの利いた操縦を可能にしています。これらのプロペラと方向舵は、ジョイスティックによるフライ・バイ・ワイヤシステムで制御され、容易な取り回しを実現しています。そのため、地上での作業に必要な人員も従来の飛行船に比べて少なくて済みます。

居住区

乗員は、船体前方下部に設けられたゴンドラに搭乗します。旅客定員は14名で、快適な空の旅を楽しむことができます。

運用実績

1997年9月に試作機である1番船「フリードリヒスハーフェン」が初飛行し、その後2001年8月に2番船「ボーデン湖」、2003年2月に3番船が建造されました。2019年現在までに7番船が建造されています。ドイツでツェッペリンNTを運航するツェッペリン輸送会社は、2001年に設立された企業ですが、かつてフェルディナント・フォン・ツェッペリン伯爵が設立したドイツ飛行船運輸の名を受け継いでいます。

1番船は、2005年から2年間の契約でダイヤモンド採掘大手のデビアスにリースされ、地質調査に使用されました。しかし、2007年9月にボツワナで地上係留中に突風により大破し、修理不能と判断され解体されました。2番船は2004年6月18日に日本の日本飛行船に引き渡され、JA101Zとして遊覧飛行や空中撮影などの事業に用いられました。2010年6月に日本飛行船が経営不振により事業を停止し破産手続きに入ったため、7月に埼玉県で解体されました。解体された部材はドイツに売却され再建造され、D-LZFNの機体記号でツェッペリン輸送会社の飛行事業に用いられています。

外部リンク

Zeppelin Luftschifftechnik GmbH - 公式サイト
zeppelintours.com
Deutsche Zeppelin Reederei
日本飛行船

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