ツガ属

ツガ属（Tsuga）

ツガ属は、マツ科に分類される針葉樹の一群です。これらの樹木は、常緑性の高木として成長し、その特徴的な外観と生態で知られています。

特徴

ツガ属の樹木は、葉が針状というよりは平らで細長い形をしています。葉の表面には中央に縦の溝があり、裏面には気孔帯が主軸の両側に沿って見られます。葉は枝に螺旋状に付いていますが、実際にはやや二列に配置されているように見えます。また、枝には葉が付いていた跡である葉枕と呼ばれる突出部があり、葉はそこから生えています。葉の基部は短くはっきりとした葉柄となっています。

ツガ属は雌雄同株であり、雌花と雄花が同じ木に咲きます。毬果は小型で楕円形をしており、枝先から下垂します。多数の種子鱗片が螺旋状に並んでおり、包鱗片はそれらの間に隠れています。種子は鱗片の隙間から放出されますが、鱗片自体は脱落しません。種子は小型で翼を持っています。

ツガ属はモミ属と似ている点もありますが、モミ属は毬果の種子鱗片が成熟すると脱落するという点で大きく異なります。また、モミ属には葉枕がありません。トウヒ属とは、毬果が大きくなることや葉柄がないことなどで区別できます。さらに、トガサワラ属やアブラスギ属とは、種子鱗片の間から包鱗片が伸び出すという点で異なっています。

分類と分布

ツガ属の植物は、ヒマラヤ山脈地域から東アジアにかけてと、北米に分布しています。日本では、暖温帯に生育するツガ（Tsuga sieboldii）と、亜高山帯に生育するコメツガ（Tsuga diversifolia）の2種が分布しています。

ツガ属の主な種

Tsuga brunonianum：ヒマラヤツガ
Tsuga canadensis：カナダツガ
Tsuga caroliniana：カロライナツガ
Tsuga chinensis：テーシャン（チュウゴクツガ）、変種にタイワンツガ (Tsuga chinensis var. formosana) があります。
Tsuga diversifolia：コメツガ - 日本特産種で、ツガよりも標高の高い亜高山帯に分布します。
Tsuga heterophylla：アメリカツガ
Tsuga mertensiana：マウンテンヘムロック - 北米産。
Tsuga sieboldii：ツガ（トガ） - ほぼ日本産で、暖帯から温帯下部に生育します。

また、カナダツガ、アメリカツガ、マウンテンヘムロックを総称して、ベイツガ（米栂）と呼ばれることもあります。

近縁属

ツガ属は、マツ科の中でもモミ属やトウヒ属と近縁です。これらの属との違いを理解することで、ツガ属の特徴をより深く理解することができます。

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