ツガ

ツガ（栂）

ツガ（学名：Tsuga sieboldii）は、マツ科ツガ属に属する常緑性の針葉樹です。この植物は主に山地に生育しており、別名としてトガやツガマツとも呼ばれています。名前の由来は、葉が次々に展開する様子が「継ぐ」と関連していることにあります。また「トガ」は咎から派生したとされ、古くから罪人を磔にするために用いられてきた歴史があります。

分布と生育環境

ツガは主に日本の本州中部（福島県以西）、四国、九州、そして屋久島にみられ、さらに韓国の鬱陵島にも生息しています。湿度が高い暖帯林から温帯林にかけて広がっており、その中で比較的一般的な存在となっています。ツガは時としてこの地域の優占種となることもあり、他の針葉樹とは混生することがありますが、通常は標高約1500メートル以上の尾根筋に見られることが多いです。特定の地域ではトガサワラと混生することも確認されています。

形態・生態

ツガは高く伸びる常緑針葉樹で、直立した形態を保ちながら、通常は20 - 30メートルに成長し、胸高直径は最大で1メートルに達します。樹形は広がり、やや円錐形の特徴を有しています。樹皮は赤褐色から灰褐色で、縦に深く割れ、亀甲状にはがれ落ちます。枝は混み合い、葉は密生しています。若い枝には毛がなく、冬芽は小さな卵形または楕円形で、枝の端部や葉の基部に存在します。芽鱗も楕円形をしています。

葉は扁平な針状であり、長さは7 - 25ミリ[[メートル]]で、長短さがあるのが特徴です。表面は深緑で光沢があり、主軸には窪みがあります。先端にかけて少し凹んだ形をしており、先端が二つに分かれたような形をしています。モミと似ている点もありますが、モミの先端が鋭く尖っているのに対し、ツガは丸みを帯びています。また、枝からの葉の付き方がモミとは異なるため、識別がしやすいです。ツガの花期は2月で、雌雄が同じ株に存在します。雄花は枝の先端に紫色の長卵形として現れ、果期は10月に迎えます。

保全状況評価

IUCNレッドリストでは、2013年版で準絶滅危惧（NEAR THREATENED）として評価されています。これは、ツガがその自然分布域での生息状況において、減少傾向にあると考えられていることを示しています。

人間との関わり

ツガの材木は非常に硬く、強度が高いことから建材としての需要があります。特に良質なものは柱や梁、敷居として使用されることが多いです。また、樹皮からはタンニンが抽出され、漁網を染めるためにも利用されています。この植物の別名であるトガは咎を表す言葉から派生しており、古来から刑罰のために使われていた歴史があります。なお、秋篠宮文仁親王のお印としても知られるように、さまざまな文化的意義を持つ樹木でもあります。

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