ツツイラ号事件

ツツイラ号事件の詳細

ツツイラ号事件は、1941年7月30日に発生した日本とアメリカの間での緊張を象徴する出来事です。この日、アメリカ海軍の砲艦ツツイラ号は、日本軍の航空隊による爆撃を受けました。この事件は、当時の国際情勢における日米対立のひとつの局面を示しています。

事件の経緯

1941年、日本軍は中華民国の重慶に対して空襲を行い、重慶爆撃を実施しました。この攻撃は「一〇二号作戦」として知られるもので、日本軍の航空機が重慶の市内に爆弾を投下しました。しかし、爆弾は目標から外れ、長江に停泊していたツツイラ号の近くに落下しました。

幸運なことに、爆弾はツツイラ号の約8ヤードの距離に落下し、艦尾に限られた損傷を与えただけで、人的被害はありませんでした。実際、この事件はツツイラ号にとって3度目の至近弾でした。過去には、一度目が1940年5月に約400ヤードの場所に、二度目が同年10月に300ヤードの距離に落下していました。

このように、ツツイラ号は日本軍の攻撃の標的として繰り返し危険にさらされていました。この時、駐日米大使のジョセフ・グルーは、自身の日記に「日米両国は戦争の8ヤード前まで来ている」と記すほど緊迫した状況を認識していました。さらに、当時のアメリカはパナイ号事件や南部仏印進駐の影響を受けており、日本への感情が悪化していました。

事件後の対応

事件発生後、重慶に駐在していた米軍の武官から報告を受けたアメリカ国務次官のサムナー・ウェルズは、日本の駐米大使野村吉三郎に連絡を取り、事件の詳細な説明と賠償を求めました。また、東京の駐日大使グルーにも抗議するように指示が出されました。

その翌日、7月31日、野村大使はアメリカの国務長官コーデル・ハルと面会し、日本政府が事件に関して調査を行う旨を伝えました。これによって、アメリカ政府は公表を控え、当時の戦争状態を回避することができました。

この事件は、日米間の対立を一層深める結果となり、戦争への道を進む大きな一歩となりました。最終的には、これらの緊張が数ヶ月後の真珠湾攻撃につながることになるのです。

結論

ツツイラ号事件は、アメリカと日本の関係が緊迫し、戦争の回避が難しくなっていく過程を示す重要な出来事でした。この事件を通じて、国際政治の複雑さが浮き彫りとなり、歴史における転換点の一つとなっています。

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