重慶爆撃

重慶爆撃について

重慶爆撃（じゅうけいばくげき）は、日中戦争の最中、1938年12月から1941年9月の間に、大日本帝国陸海軍の航空部隊が中国の重慶を対象に行った一連の空襲を指します。この爆撃は最初は軍事的な施設や飛行場をターゲットとして始まったものの、実際には多くの一般市民にも被害が及んだことから、無差別爆撃として批判されることになりました。

背景

日中戦争の背景には、1937年に起きた第二次上海事変がありました。これを契機に日本軍は南京を攻め落とし、その後も国民党政府の拠点を次々に奪取していきました。蔣介石率いる国民党政府は首都を南京から漢口、さらに内陸の重慶へと移さざるを得なくなりました。日本軍の方針としては、これ以上地上戦を拡大することは国力の限界を超えると判断され、航空戦力を用いた攻撃が検討されました。

作戦の立案

大本営は1938年12月2日に中支那方面軍に向けて、航空攻撃を通じて敵の重要な戦略的中枢を打撃するよう指示を出しました。しかし、当初、日本の航空能力は限られており、相手の迎撃に対抗することも考慮して、より新鋭の機体を使用した長距離攻撃が計画されました。

作戦の実行

最初の爆撃は1938年12月26日に行われ、その後も1939年から1941年の間に継続されました。視界が確保できる期間に集中して行われ、爆弾の投下量は1940年には4340トンを超えました。重慶は中国の工業都市でもあり、定期的に爆撃が行われた結果、特に民間人の被害が増加しました。特に1939年5月の爆撃では、数千人が死亡するなどの大惨事が発生しました。

爆撃の効果と評価

日本軍の爆撃は、蒋介石政府を屈服させるには至らず、逆に民間人を狙った爆撃が国際的な非難を呼びました。日本側は結果を正当化しようとしましたが、周囲の欧米諸国の外交施設への影響を気にする余り、爆撃の名分にこだわったと言われます。重慶においては、住民の避難計画が策定され、地下壕が多数構築されましたが、事故も多発しました。この無差別爆撃は、後の東京大[[空襲]]や、広島・長崎への原爆投下への影響を及ぼした可能性があると指摘されています。

作品と記録

重慶爆撃を題材にした映画やドキュメンタリーも製作され、歴史的な側面を探求する研究が続けられています。このような研究を通じて、過去の悲劇を再考し、未来に向けた警鐘を鳴らすことが重要とされています。

参考文献

• - 前田哲男 『戦略爆撃の思想 : ゲルニカ、重慶、広島』
• - 張鴻鵬 「遠藤三郎と重慶爆撃 ──「北進」から「南進」への国策転換」

重慶爆撃は、非常に複雑な歴史を持つ事件であり、その影響は現代においても様々な形で語られ続けています。

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