ツバメチドリ科

ツバメチドリ科（学名: Glareolinae）は、チドリ目に分類される鳥類の科の一つです。この科には、ツバメチドリ類（pratincoles）とスナバシリ類（coursers）が含まれており、旧大陸とオーストラリア区に生息しています。これらの鳥は、嘴（くちばし）の基部に鼻孔があるという特徴を持っています。

系統と分類

ツバメチドリ科の系統分類については、いくつかの説が存在しました。かつては、ツバメチドリ亜科（Glareolinae）とスナバシリ亜科（Cursoriinae）に分ける説がありましたが、スナバシリ亜科は系統的に基底的な側系統であることが判明しました。また、これらの亜科を別々の科とする説もありました。

伝統的にツバメチドリ科に分類されていたナイルチドリ（Pluvianus）は、系統的に異なることが明らかになり、単型のナイルチドリ科として独立しました。さらに、Sibley & Ahlquist（1990）は、カニチドリ（Dromas）をツバメチドリ科に含め、広義のツバメチドリ科をツバメチドリ亜科（狭義のツバメチドリ科とナイルチドリ）とカニチドリ亜科（カニチドリのみ）に分ける説を提唱しました。しかし、現在ではカニチドリも単型のカニチドリ科を形成し、系統的な位置は不明確ながらも、ツバメチドリ科とは比較的近い関係にあると考えられています。

古くは、チドリ科（Charadriidae）と近縁であると考えられたこともありましたが、その後の研究により、特に近縁ではないことが示されています。

属と種

国際鳥類学会議（IOC）によると、ツバメチドリ科は以下の4属17種で構成されています。

スナバシリ属 Cursorius**
スナバシリ Cursorius cursor (Cream-colored Courser)
ソマリスナバシリ Cursorius somalensis (Somali Courser)
ミナミスナバシリ Cursorius rufus (Burchell's Courser)
アフリカスナバシリ Cursorius temminckii (Temminck's Courser)
インドスナバシリ Cursorius coromandelicus (Indian Courser)
クビワスナバシリ属 Rhinoptilus**
フタオビスナバシリ Rhinoptilus africanus (Double-banded Courser) (別名: Smutsornis africanus)
ウロコクビワスナバシリ Rhinoptilus cinctus (Three-banded Courser)
スミレスナバシリ Rhinoptilus chalcopterus (Bronze-winged Courser)
クビワスナバシリ Rhinoptilus bitorquatus (Jerdon's Courser)
*アシナガツバメチドリ属 Stiltia**
アシナガツバメチドリ Stiltia isabella (Australian Pratincole)
ツバメチドリ属 Glareola**
ニシツバメチドリ Glareola pratincola (Collared Pratincole)
ツバメチドリ Glareola maldivarum (Oriental Pratincole)
ハグロツバメチドリ Glareola nordmanni (Black-winged Pratincole)
チャバラツバメチドリ Glareola ocularis (Madagascar Pratincole)
エリジロツバメチドリ Glareola nuchalis (Rock Pratincole)
ハイイロツバメチドリ Glareola cinerea (Grey Pratincole)
ヒメツバメチドリ Glareola lactea (Small Pratincole)

この分類は、近年の遺伝子解析などの研究に基づいており、従来の分類とは異なる部分もあります。ツバメチドリ科の鳥類は、その多様な形態や生態によって、鳥類学の研究者にとって興味深い対象となっています。

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