ツマトリソウ

ツマトリソウ（褄取草）

ツマトリソウは、サクラソウ科ツマトリソウ属に分類される多年草です。以前はサクラソウ科に分類されていましたが、APG植物分類体系ではヤブコウジ科に移されました。

名前について

和名の「ツマトリソウ」は、花弁の先端に現れる淡い紅色の縁が、鎧の「威色目（おどしいろめ）」の一つである「褄取り」に似ていることに由来します。この特徴的な色の入り方が、この植物の名前の由来となっています。

特徴

ツマトリソウは、10cmから15cm程度の高さまで成長します。茎には互い違いに葉がつき、茎の上部では輪生状に見えます。葉の形は広披針形で、先端が尖っています。葉の大きさは長さ2cmから7cm、幅1cmから2.5cm程度です。

花期は6月から7月で、茎の先端の葉腋から花柄を伸ばし、直径1.5cmから2cm程度の白色の花を上向きに咲かせます。花冠は7つに分かれており、雄しべは7個、雌しべは1個あります。この可愛らしい花は、山野を彩る姿で多くの人々を魅了します。

分布と生育環境

ツマトリソウは、日本では北海道、本州、四国に分布しており、亜高山帯の草地や半日陰の場所、林の縁などで見られます。世界的には、北アメリカ、ヨーロッパ、シベリア、アラスカ、朝鮮半島などの温帯から寒帯にかけて広く分布しています。冷涼な気候を好む植物であることがわかります。

変種

ツマトリソウには変種として、コツマトリソウ（小褄取草）があります。コツマトリソウは、ツマトリソウよりも全体的に小型で、葉の先端が丸みを帯びているのが特徴です。湿原のミズゴケの中に自生しており、生育環境も少し異なります。

参考文献

北村四郎・村田源・堀勝編『原色日本植物図鑑　草本編I 合弁花類』、1980年、保育社
佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅲ 』、1981年、平凡社

外部リンク

* 鎧の「威色目」（例としてリンクを挿入）

ツマトリソウは、その名前の由来にもなった特徴的な花弁の縁取りが美しく、日本の山野を代表する植物の一つです。亜高山帯を訪れる際には、ぜひ探してみてください。

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