ツラナガコビトザメ

ツラナガコビトザメとは

ツラナガコビトザメ（学名：Squaliolus aliae）は、ヨロイザメ科に属する特異なサメで、主に日本からオーストラリアの太平洋域に広く分布しています。このサメの特徴として、最大で22cmという小型の体長を持ち、同属のオオメコビトザメと並んで世界最小のサメの一つと考えられています。また、このサメは独特の生活様式を持ち、150～2000メートルの深さで日夜にわたり移動します。昼間は深海に、夜間は浅い水域に姿を現します。

分類と歴史

ツラナガコビトザメは1958年に初めて捕獲され、台湾の東港沖で18cmの雌として記録されました。この種名は、台湾の魚類学者鄧火土が自身の妻にちなみ名付けたもので、後に正しい語尾に修正されました。しかし、1977年には専門家の間でその独立性が疑問視され、オオメコビトザメのシノニムとされることもありました。1987年には形態比較によって再び独立した種として認識され、現在に至っています。

生息地

このサメは西部太平洋と呼ばれる地域に広く分布しており、南日本沖やフィリピン、オーストラリアの北部および東部からの報告が確認されています。生息深度は主に150メートルから2000メートルで、昼夜の活動周期に応じて移動する生態が観察されています。昼間は深海で活動し、夜間に浅めの水域に戻ってくる姿が見られます。

体の特徴

ツラナガコビトザメは円筒形の体型をしており、体色は暗褐色から黒で、鰭の縁はやや明るい色合いをしています。最も注目すべき点は、第一背鰭に棘があり、第二背鰭には棘がない点です。この棘は雄では大抵見えるのに対し、雌は皮膚に覆われることが多いです。第一背鰭は小型で胸鰭の後方から始まり、第二背鰭は長くて低く、腹鰭の基部上方に位置しています。

身体的な特徴では、比較的小さい目と独特な乳頭突起を持った上唇が挙げられます。上顎歯列は20から27本、下顎は18から23本あり、それぞれの歯は体内で異なる役割を果たしています。

生態と餌

ツラナガコビトザメの生態については、詳細な情報が不足していますが、主に中層で捕まるイカ、オキアミ、エビ、小魚によって栄養を摂取しているとされています。特に腹面には発光器があり、これを使用して自身の影を隠すことで捕食者から身を守る巧妙な戦略を持っています。無胎盤性胎生であるため、出生時はおおよそ10cm以下に成長します。雄の性成熟は約15cmに達した時点でみられます。

人との関わり

ツラナガコビトザメは、普段は稀に漁獲されることがあるものの、その小さな体長から経済的価値はあまりありません。広い分布領域を持つため、IUCN（国際自然保護連合）によって軽度懸念として評価されています。2006年には東海大学海洋科学博物館に数匹が収容され、短期間飼育された記録もありますが、その後の飼育例は少ないとされています。

このように、ツラナガコビトザメは多くの特徴を持ちながらも、研究の対象としてあまり注目されていない部分が多い興味深いサメです。

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