オオメコビトザメ

オオメコビトザメについて

オオメコビトザメ（学名: Squaliolus laticaudus）は、ヨロイザメ科に属し、世界中の海域に広がって生息する小型のサメです。その最大体長は28cmに達し、現存するサメの中で特に小さな種類の一つとして知られています。細長い体形を持ち、円錐形の大きな吻や長くて垂直に立ち上がらない第二背鰭、対称的な尾びれが特徴的です。また、第一背鰭には棘が存在し、第二背鰭には棘がないのは、本種と近縁のツラナガコビトザメと共通しています。色彩は濃い茶色から黒色で、腹部には無数の発光器を備えており、これが水中での捕食などでどのように活用されるかが興味深い点です。

生息地と捕食行動

オオメコビトザメは主に栄養豊富な大陸棚の海域に生息し、小型の硬骨魚やイカを食べる肉食性の生物です。日中は水深約500メートルに身を潜め、夜には餌を求めて水深200メートルほどの浅い海域に移動します。この行動は、深海魚に見られる日周鉛直移動と呼ばれ、捕食の効率を高めるために進化したと考えられています。

繁殖は卵胎生で、メスは一度に最大4匹の稚魚を出産します。経済的な価値はほとんどなく、IUCN（国際自然保護連合）によると漁業などによる脅威は少ないため、その保全状態は軽度懸念とされています。

歴史的な背景

オオメコビトザメは、1907年から1910年にかけてアメリカ海軍の蒸気船アルバトロス号が行ったフィリピン遠征の際に新たに発見された種類のひとつです。この時、ルソン島南部のバタンガス港で得られた二つの標本が基に1912年にアメリカの魚類学者ヒュー・マコーミック・スミスとルイス・ラドクリフによって記載されました。これらの標本の一つは全長15cmのオスであり、タイプ標本となりました。

スミスとラドクリフは新属のSqualiolusを設け、本種にラテン語で「幅が広い」という意味のlatusと「尾」を意味するcaudaを組み合わせたlaticaudusという名前を付けました。オスの交尾器に類似性が見られ、同属のツラナガコビトザメとはオキコビトザメとも近縁であるという考えが提唱されています。

分布と生態

この種はグローバルに広く分布しており、大西洋西部ではバミューダ諸島やブラジル南部、アルゼンチン北部で確認されています。東部ではフランス北沖、インド洋ではソマリア沖の報告があります。太平洋側では南日本や台湾、フィリピンに見られ、水深200から500メートルでの生息が一般的です。彼らはオキコビトザメやダルマザメと生息域が異なり、燦然とした生物生産性をもつ大陸棚を好む傾向があります。

形態的特徴

このサメの体型は紡錘形で痩せており、目は大きく眼窩の上縁はほぼ直線です。口は薄く滑らかな唇を持ち、上顎には22から31本の歯が、下顎には16から21本の歯が並び、これらは切れ目のない刃状を形成しています。背鰭の棘に関しては、第一背鰭には棘がありますが第二には見られない特徴があります。この棘はオスで外部に露出し、メスでは皮膚に覆われています。平たいブロック状の皮歯が体表を覆い、色は濃い茶色から黒で明るい鰭の端が特徴的です。

人間との関係

経済的価値はないものの、漁業活動でトロール網に混獲されることがありますが、小型のため通常は捕らえられることは少ないです。広範な生息域と少ない人間からの脅威から、この種はIUCNによって軽度懸念として評価されています。オオメコビトザメは、生態系の中での独特な役割を持った興味深い生物と言えるでしょう。

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