ツリガネニンジン属

ツリガネニンジン属 (Adenophora)

ツリガネニンジン属は、キキョウ科に属する多年草のグループです。学名は Adenophora といい、特徴的な釣鐘状の花を咲かせることから、この名前が付けられました。日本を含むアジアやヨーロッパに約50種が分布し、日本国内だけでも12種が自生または帰化しています。

特徴

ツリガネニンジン属の植物は、一般的に以下のような特徴を持ちます。

多年草: 一度根付くと、毎年花を咲かせる多年生の植物です。
根茎: 太い根茎を持ち、そこから新しい芽を出します。
葉: 茎につく葉は、輪生、互生、または対生することがあります。葉の縁は全縁（滑らか）であるか、鋸歯状になっている場合があります。
花: 花は総状花序、円錐花序、またはまれに穂状花序につきます。花の色は濃紫色、紅紫色、淡紫色、または白色などがあります。花冠は釣鐘形または漏斗状鐘形をしており、先端が5つに裂けています。
萼: 萼裂片は披針形または線形で、縁は全縁または細鋸歯があります。
雄蕊: 雄蕊は5個あり、花冠には合着していません。
子房: 子房は下位で3室に分かれており、萼筒に合着しています。花柱の基部は花盤で囲まれ、柱頭は3裂します。
果実: 果実は蒴果です。

日本に自生する主な種

日本には、以下のようなツリガネニンジン属の植物が自生または帰化しています。

ヒナシャジン (Adenophora maximowicziana)
イワシャジン (Adenophora takedae)
ホウオウシャジン (Adenophora takedae var. howozana)
ツクシイワシャジン (Adenophora hatsushimae)
ヒメシャジン (Adenophora nikoensis)
マリシャジン (Adenophora nikoensis f. globiflora)
ケヒメシャジン (Adenophora nikoensis f. hispidula)
ミヤマシャジン (Adenophora nikoensis f. nipponica)
ヒメイワシャジン (Adenophora nikoensis var. persicaria)
ミョウギシャジン (Adenophora nikoensis var. petrophila)
シライワシャジン (Adenophora nikoensis var. teramotoi)
ケシライワシャジン (Adenophora nikoensis var. teramotoi f. hispidula)
モイワシャジン (Adenophora pereskiifolia)
ツリガネニンジン (Adenophora triphylla var. japonica)
シロバナツリガネニンジン (Adenophora triphylla var. japonica f. albiflora)
シラゲシャジン (Adenophora triphylla var. japonica f. canescens)
ハイツリガネニンジン (Adenophora triphylla var. japonica f. procumbens)
マルバノハマシャジン (Adenophora triphylla var. japonica f. rotundifolia)
ハクサンシャジン（タカネツリガネニンジン）(Adenophora triphylla var. japonica f. violacea)
オトメシャジン (Adenophora triphylla var. puellaris)
シキネシャジン (Adenophora triphylla var. sasamotoi)
サイヨウシャジン（ナガサキシャジン、リュウキュウシャジン、シマシャジン）(Adenophora triphylla var. triphylla)
シロバナリュウキュウシャジン (Adenophora triphylla var. triphylla f. alba)
フクシマシャジン (Adenophora divaricata)
シロバナフクシマシャジン (Adenophora divaricata f. albiflora)
シマシャジン (Adenophora tashiroi)
ソバナ (Adenophora remotiflora)
ホソバソバナ (Adenophora remotiflora f. angustifolia)
ケソバナ (Adenophora remotiflora f. hirsuta)
シロソバナ (Adenophora remotiflora f. leucantha)
ヤチシャジン (Adenophora palustris)
シロバナヤチシャジン (Adenophora palustris f. nivea)
トウシャジン (Adenophora stricta)
シロバナトウシャジン (Adenophora stricta f. albiflora)
ナガバノニンジン (Adenophora stricta var. lancifolia)
シラトリシャジン (Adenophora uryuensis)

これらの種は、それぞれ微妙に異なる特徴を持っており、生育環境や花の形、色などによって区別されます。山野を散策する際には、これらの美しい花々を探してみるのも良いでしょう。

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅲ合弁花類』(1981) 平凡社
米倉浩司・梶田忠 (2003-) BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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