ツリバナ(吊花)
ツリバナ(
学名:
Euonymus oxyphyllus var.
oxyphyllus)は、ニシキギ科ニシキギ属に分類される
落[[葉性]]の
低木です。その名の通り、長い花柄の先に花を吊り下げるように咲かせる姿が特徴的です。別名としてタンザワツリバナと呼ばれることもあり、地域によってはマキ、イロマキ、
北海道ではエリマキという地方名で親しまれています。
アイヌ語では「コンケ・ニ」と呼ばれ、「曲がる木」という意味があり、かつて弓の材料として利用されていたことに由来します。
分布と生育環境
ツリバナは、日本、南千島、
朝鮮半島、
中国といった
アジア北東部の温暖な地域に自生しています。日本では
北海道から
本州、
四国、
九州にかけて分布しており、山地や丘陵で見られます。人の手によって植栽されることもあり、庭木や盆栽としても利用されています。
形態・生態
ツリバナは、落
葉広
葉樹の
低木または小高木で、成長すると1〜6mほどの高さになります。幹の直径は10〜20cm程度になり、
樹皮は滑らかで灰色をしていますが、茶色みを帯びたり、白い斑点が見られることもあります。一年枝には稜や皮目がなく、緑色や紫褐色をしています。
葉は対生で、長さ3〜10cm、幅約5cmの卵形から長楕円形をしています。
葉は薄く、先端は尖っており、基部は円形です。
葉柄は短く、
葉の表面は緑色、裏面はやや薄い緑色で
葉脈が浮き出て見えます。
葉の縁には鋸歯があり、秋になると美しく
紅[[葉]]します。日当たりの良い場所では淡いピンク色から赤色に、日陰では淡い黄色に色づくことが多いです。
開花時期は初夏の5〜6月頃で、
葉の付け根から4〜15cmほどの花柄を持つ集散花序が伸び、紫がかった緑色の花を咲かせます。小花の直径は約5〜8mmで、萼片、花弁、雄しべがそれぞれ5つずつあります。花は長い花柄の先にぶら下がるように咲きます。
果実は秋に実り、直径約12mmの赤い実をつけます。
果実は平たく、5つの稜があります。熟すと5つに裂け、中からオレンジがかった赤色の
仮種皮に包まれた
種子が現れます。
果実には翼がありません。
冬芽は枝に対生し、細長い被針形で先端が尖っています。芽鱗は6〜10枚あり、色は枝とほぼ同じです。頂芽は側芽よりも大きく、冬芽の付け根にある
葉痕は半円形で、
維管束痕が1つあります。
利用
ツリバナは、その美しい
果実や
紅[[葉]]が観賞用として高く評価され、庭木や盆栽として利用されています。また、材は白く滑らかで美しいため、木彫り細工などにも利用されています。
参考文献
鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社、2014年
辻井達一『日本の樹木』中央公論社、1995年
林将之『紅[[葉]]ハンドブック』文一総合出版、2008年
平野隆久監修
永岡書店編『樹木ガイドブック』
永岡書店、1997年
邑田仁、米倉浩司 編『APG原色牧野植物大図鑑II』北隆館、2013年
関連項目
ニシキギ
*
マユミ