ツルクイナ

ツルクイナについて

ツルクイナ（学名：Gallicrex cinerea）は、ツル目クイナ科ツルクイナ属の唯一の種であり、主に湿った環境に生息します。インドやインドネシア、さらには日本の八重山列島にまで広がる分布域を持つこの鳥は、非常に適応力のある種として知られています。

分布と生息地

ツルクイナは、インド、インドネシア、シンガポール、カンボジア、スリランカ、タイ、大韓民国、中国の南部、台湾、北朝鮮、日本（特に八重山列島）、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ブータン、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス、ロシア南東部など、広い地域に分布しています。この中でも、日本では宮城県で数例の記録が確認されています。

形態

ツルクイナの体は、オスで全長42-43センチメートル、メスで36センチメートルほどに成長し、翼を広げると68から86センチメートルになります。体重は約300から500グラムです。特徴的な長い嘴は太く、オスは繁殖期には独特の肉質の額板が上嘴から額にかけて目立ちます。この繁殖期のオスは、全身の羽毛が黒褐色で、羽縁が淡黄褐色を持つ外観となり、腹部には灰色の横縞があります。必要に応じて、雨覆や風切羽の羽縁は褐色です。また、この時期には虹彩が赤く、嘴は黄色で大きな額板が赤みを帯びて突出します。非繁殖期やメスの羽色は、黒褐色で羽縁が黄褐色、下面は淡褐色で褐色の横縞が見られ、嘴は黄褐色、後肢は緑褐色になります。

生態

ツルクイナは、湿性草原やヨシ原、池沼、水田など多様な水辺の環境に生息し、渡りを行うことはありません。薄明薄暮性のため、日中は茂みに隠れ休息する傾向があり、通常は単独またはペアで生活しています。彼らの食性は雑食性であり、昆虫、軟体動物、そして植物の芽や種子を主に摂取します。

繁殖期には、6月から9月にかけて、ヨシ原や水田の草の間に巣を作ります。巣はイグサなどの植物を組み合わせて構成され、通常3から6個の卵を産卵します。抱卵期間はおよそ24日です。

このように、ツルクイナはその美しい姿とユニークな生態を持つ鳥として、自然環境での重要な役割を果たしています。

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