ツヴィッカウ交響曲

ツヴィッカウ交響曲

ツヴィッカウ交響曲は、ロベルト・シューマンが作曲を試みたものの、全曲を完成させることができなかった交響曲です。シューマンが故郷であるツヴィッカウで初演を行ったことから、この通称で呼ばれています。正式な作品番号は与えられておらず、シューマン自身も「交響曲」以上の名称は与えていません。

作曲の経緯

この交響曲は、若き日のシューマンが初めて交響曲の作曲に挑んだ作品とされています。1832年に作曲が開始され、まず第1楽章が完成しました。同年のツヴィッカウでのクララ・ヴィークによるピアノ演奏会で、この第1楽章が初演されました。しかし、当時既にピアニストとして名声を得ていたクララの陰に隠れ、この初演は全くと言っていいほど評判になりませんでした。

翌年にかけて、第1楽章の改訂が行われるとともに、第2楽章が作曲されました。しかし、第3楽章以降は作曲されることなく、交響曲は未完に終わりました。シューマンはその後、1840年頃までピアノ曲の作曲に専念し、その後、交響曲や管弦楽曲の作曲を再開しましたが、この未完の交響曲が顧みられることはありませんでした。

シューマンは、最終的に3楽章構成で交響曲を完結させる構想を持っており、同時期に作曲されたピアノ曲の一部から素材を転用する計画があったという話も残っています。

演奏時間と楽器編成

演奏時間は約20分で、第1楽章が約11分、第2楽章が約9分です。
楽器編成は、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ1対、弦五部です。

楽曲構成

第1楽章：アレグロ・モルト
ト短調で始まり、ト長調に転じます。長い展開部を持つのが特徴です。ツヴィッカウでの初演時には、8小節の序奏がありましたが、その後削除されました。現在でも、序奏付きの音源と序奏なしの音源が存在します。
第2楽章：アンダンティーノ―スケルツォ風間奏曲
ロ短調で始まり、ニ長調を経てロ短調に戻ります。緩徐楽章的な性格と、スケルツォ楽章的な性格が融合した独特な楽章です。

レコーディングと実演

現在、複数のCD録音を聴くことができます。これらの録音は、シューマンの交響曲全集の一部として収録されているものがほとんどです。第1楽章のみを録音している指揮者と、第2楽章までを録音している指揮者がいます。

また、第1楽章に関しては、改訂前に削除された序奏部を含めて演奏している指揮者もいます。第1楽章のみが録音される理由としては、楽曲がト短調で始まり、第2楽章がロ短調で終わるという調性的な問題が挙げられます。実演の機会は非常に限られています。

外部リンク

ツヴィッカウ交響曲の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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