ツール・ド・フランス1965

ツール・ド・フランス1965：新星ジモンディの誕生とアンクティルの不在

1965年のツール・ド・フランスは、第52回目の開催を迎え、6月22日から7月14日まで全22ステージで行われました。この大会は、前人未到の総合4連覇を達成したジャック・アンクティルがまさかの不出場となり、新星フェリーチェ・ジモンディが総合優勝を飾るという、記憶に残る大会となりました。

アンクティルの不在

ツール史上初の総合4連覇という偉業を成し遂げたジャック・アンクティルが、故障を理由とせずに突如として不参加を表明しました。これにより、5連覇の夢は儚く散りました。その背景には、彼のレーススタイルに対するフランス国内からの批判があったと言われています。

アンクティルは、タイムトライアルでの圧倒的な強さを見せる一方で、山岳コースではクライマーの力を借りることが多く、自ら積極的にアタックをかける場面は多くありませんでした。先にツール3連覇を達成したルイゾン・ボベとは対照的に、山岳でライバルを圧倒するようなレース展開を見せなかったため、フランスのファンやメディアからの批判が集中しました。また、当時フランス国内ではレイモン・プリドールが絶大な人気を誇っており、アンクティルに対する風当たりは一層強かったようです。こうした状況から、アンクティル自身もレースへのモチベーションを失い、不参加を決意したと考えられています。

レースの展開

第3ステージ、ルーベからローアンまでの240kmの区間において、プロ入りしたばかりのフェリーチェ・ジモンディが勝利し、マイヨジョーヌを獲得しました。さらに、第5ステージの個人タイムトライアルでも、ジモンディは区間優勝のプリドールにわずか7秒差で2位に入り、マイヨをキープしました。しかし、第7ステージでベルナール・バンデケルクホーフらの集団アタックが決まり、ジモンディはエドワール・セルらに4分30秒の差をつけられ、バンデケルクホーフにマイヨを奪われ、総合4位に後退しました。

第9ステージから始まったピレネー越えステージでは、ジモンディは苦しみながらも区間6位に入り、区間32位と大敗したバンデケルクホーフからマイヨを奪還しました。総合2位には、今大会の本命と目されていたプリドールが3分12秒差で続きました。山岳王として知られるフェデリコ・バーモンテスは、第10ステージで早々にリタイアしています。

第14ステージのモン・ヴァントゥがゴールとなる重要なステージで、プリドールが区間優勝を果たし、総合でもジモンディに34秒差まで迫りました。アルプス越えステージでも両者の差は縮まらないまま、第18ステージの山岳個人タイムトライアルが勝負の分かれ目となりました。ジモンディがプリドールを37秒差で下し、総合でも1分12秒差に広げ、総合優勝への期待が高まりました。

最終第22ステージの個人タイムトライアルでも、ジモンディがプリドールに1分8秒差をつけて勝利し、ついに総合優勝を手にしました。ジモンディにとって、ツール・ド・フランスでの総合優勝はこの年だけでしたが、その後ジロ・デ・イタリアを3回、ブエルタ・ア・エスパーニャを1回制し、アンクティルに次いで史上2人目のグランツール全総合優勝達成者となりました。ジモンディの総合優勝が決まった瞬間、イタリア国内は歓喜に沸いたと言われています。

総合成績

(総合成績データは省略)

マイヨ・ジョーヌ保持者

(マイヨ・ジョーヌ保持者データは省略)

外部リンク

第52回ツール・ド・フランス1965（フランス語）

もう一度検索