ツール・ド・フランス1967

1967年のツール・ド・フランスは、54回目の大会であり、1967年6月29日から7月23日にかけて全22ステージで争われました。この年から2年間、チームは国や地域単位で編成されるという新たな試みが導入されました。

レース概要

この大会を制したのはロジェ・パンジョンでした。彼は第5ステージの途中でマイヨ・ジョーヌ（黄色のジャージ、総合首位を示す）を獲得します。アルプス山脈を越える過酷な第7ステージでは、チームメイトのレイモン・リオッテに一時的にマイヨ・ジョーヌを奪われましたが、続く第8ステージでリオッテが大きく遅れ、パンジョンが再びマイヨ・ジョーヌを奪還しました。

その後もアルプス山脈でのステージを順調に走りきり、着実にリードを広げていきます。しかし、ピレネー山脈を越える第16ステージでフリオ・ヒメネスが猛追。パンジョンとの差を2分3秒にまで縮め、総合2位に浮上しました。さらに、ピュイ・ド・ドームがゴール地点となる第20ステージでもヒメネスはパンジョンを追い詰めて、僅か1分39秒差まで迫ります。

ヒメネスの追い上げは最終ステージまで続きましたが、最終ステージの個人タイムトライアルでパンジョンが1分16秒差をつけてヒメネスを振り切り、総合優勝を決めました。パンジョンとヒメネスの激しい首位争いは、この大会を記憶に残るものにしました。

トム・シンプソンの死

この大会は、イギリス人選手トム・シンプソンの悲劇的な死によって、暗い影を落とされました。1967年7月13日、第13ステージで発生した事故です。シンプソンは、それまで総合6位につけていましたが、第10ステージで大きく順位を落とし、第13ステージを迎えていました。

当時、プロヴァンス地方は酷暑に見舞われており、シンプソンの体調は既に限界に達していた可能性が高いです。また、後に彼の体内からはアンフェタミン、アルコール、利尿薬が検出されました。これらの要因が重なり、シンプソンは「死の山」として恐れられるモン・ヴァントゥの頂上付近でバランスを崩し、転倒。イギリスチームのスタッフが棄権を勧めたにもかかわらず、彼は再びレースに戻ろうとしましたが、再び倒れて起き上がれなくなりました。

ヘリコプターで病院に搬送されましたが、既に死亡が確認されました。シンプソンの死は、プロサイクリング界に大きな衝撃を与え、ドーピング問題や選手の健康管理に対する意識改革を促すきっかけとなりました。この悲劇は、ツール・ド・フランスの歴史に暗い一頁として刻まれています。

総合成績

この大会の総合成績は、ロジェ・パンジョンの優勝で幕を閉じました。彼の粘り強い走り、そして、ヒメネスとの激しいデッドヒートは、多くの観客を魅了しました。しかし、同時にトム・シンプソンの死は、勝利の喜びを複雑なものにしました。この大会は、スポーツの勝利と悲劇の両面を鮮やかに示した大会として、ツール・ド・フランスの歴史に刻まれています。

マイヨ・ジョーヌ保持者

マイヨ・ジョーヌの変遷は、レースの激しさと、選手たちの戦略を物語っています。様々な選手がマイヨ・ジョーヌを着ましたが、最終的にロジェ・パンジョンがその栄誉を手にしました。

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