ツール・ド・フランス1971

ツール・ド・フランス1971：激闘と悲劇のドラマ

1971年のツール・ド・フランスは、第58回目の大会として、6月28日から7月18日まで全20ステージで開催されました。この年は、1つの日を前半と後半のステージに分ける構成が多く、最終盤までマイヨ・ジョーヌを巡る激しい争いが繰り広げられました。

大会のみどころ

イタリアのモルテニに移籍したエディ・メルクスが、総合3連覇に挑むことが最大の注目点でした。多くの人がメルクスの3連覇を予想していましたが、スペイン人のルイス・オカーニャが予想を覆す大健闘を見せ、メルクスは一時的に窮地に立たされます。この大会は、ツール・ド・フランスの歴史においても稀に見る激闘が繰り広げられた年として、その名を刻んでいます。

大会の展開

第1ステージは、チームタイムトライアル、山岳、平地の三部構成という異例の形式で始まりました。メルクスは早くもマイヨ・ジョーヌを獲得しますが、序盤から山岳ステージが続くにもかかわらず、他の選手も粘り強く食らいつき、メルクスは思うように差を広げることができませんでした。

第8ステージでは、オカーニャがステージ優勝を果たし、この時点でメルクスはマイヨ・ジョーヌを保持していたものの、2位のヨープ・ズートメルクとは36秒差、3位に浮上したオカーニャとはわずか37秒差という僅差でした。

アルプスステージとなる第10ステージでは、ベルナール・テブネが区間優勝を飾りました。ズートメルクとオカーニャはテブネと同タイムでゴールしましたが、メルクスは2人に1分36秒遅れてゴールし、総合4位に転落。マイヨ・ジョーヌはズートメルクの手に渡り、オカーニャがわずか1秒差で2位につけました。

さらに、オカーニャは第11ステージで中盤からアタックを仕掛け、そのまま独走でステージ優勝。ズートメルクとメルクスに対し、このステージだけで8分42秒もの差をつけ、マイヨ・ジョーヌを奪取しました。メルクスはオカーニャに9分46秒差をつけられ、総合5位という信じられない状況に陥りました。

しかし、メルクスはここで諦めませんでした。続く第12ステージの山下り区間で、決死のアタックを敢行。平均時速46.272kmという高速レースを展開し、区間優勝したアルマーニと同タイムでゴールし、総合2位に浮上しました。一方、スピードレースを得意としないオカーニャは、ズートメルクらと共に1分56秒差でゴールし、メルクスとの差は7分34秒に縮まりました。

そして、ピレネーステージ初戦となる第14ステージで、悲劇が起こります。レベからルションまでの214.5kmで行われたこのステージは、雨と嵐に見舞われ、視界が非常に悪い状況でした。メンテ峠を通過後、2番手集団にいたメルクス、オカーニャ、シリル・ギマールらは、下りのカーブでメルクスがバランスを崩し、激しく競り合っていたオカーニャが乗り上げる形で崖下に転落してしまいます。

マイヨ・ジョーヌを着ていたオカーニャは、瀕死の重傷を負い、無念のリタイアとなりました。しかし、レースはそのまま続行され、メルクスは2位集団でゴールし、マイヨ・ジョーヌを奪還しました。

ピレネーステージが終了した時点で、総合2位のルシアン・バンインプと3位のズートメルクは、2分台の差でメルクスを追走しており、まだ挽回可能なタイム差を保っていました。しかし、第17ステージの平坦ステージでメルクスが果敢にアタックをかけると、他を圧倒。このステージで、メルクスは総合2位のバンインプに5分38秒、3位のズートメルクに5分46秒の差をつけました。最終ステージの個人タイムトライアルでも圧勝し、メルクスは激闘の末、総合3連覇を達成しました。

この大会は、メルクスの圧倒的な強さと、オカーニャの勇敢な挑戦、そして悲劇的な事故が入り混じった、ツール・ド・フランスの歴史に残る大会として語り継がれています。

総合成績

(総合成績は省略)

マイヨ・ジョーヌ保持者

(マイヨ・ジョーヌ保持者は省略)

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