ツール・ド・フランス1972

ツール・ド・フランス1972：エディ・メルクスの4連覇とライバルたちの挑戦

1972年のツール・ド・フランスは、第59回目の大会として7月1日から23日まで全20ステージで開催されました。この大会の最大の焦点は、エディ・メルクスが前人未到の4連覇を達成するかどうかでした。メルクスは既に3度のジロ・デ・イタリア制覇という実績を持っており、ジャック・アンクティルに並ぶ史上2人目の偉業に挑みました。

強豪たちが集結

メルクスの前に立ちはだかるのは、前年マイヨ・ジョーヌを着用しながらもリタイアを余儀なくされたルイス・オカーニャをはじめ、シリル・ギマール、ヨープ・ズートメルク、ルシアン・バンインプ、そしてベテランのレイモン・プリドールといった強豪たちでした。特にオカーニャは、前年の雪辱を果たすべく、万全の状態で大会に臨みました。

前半戦の展開

大会序盤は、ギマールが力強い走りを見せ、第7ステージまでマイヨ・ジョーヌを保持しました。オカーニャも2分48秒差の5位につけ、山岳ステージでの逆転に期待を持たせました。しかし、メルクスはピレネー山脈越えとなる第8ステージで圧倒的な力を見せつけ、マイヨ・ジョーヌを奪取。ギマールに2分33秒差をつけましたが、オカーニャも2分48秒差で3位につけ、アルプスステージでの激しい争いが予想されました。

アルプスステージでの激闘とオカーニャのリタイア

アルプスステージに入ると、第11、12ステージではメルクスとオカーニャは互いに譲らず、3分2秒差のまま第13ステージを迎えました。このステージでメルクスはイゾアール峠を先頭で通過し、区間優勝。オカーニャは1分41秒の差をつけられ、総合でも4分43秒差まで広げられました。さらに、メルクスは第14ステージの前半でもオカーニャに2分20秒差をつけ、区間優勝。オカーニャはギマールにも抜かれ総合3位に転落し、後半ではメルクス、ギマール、ズートメルクらの集団についていけず、5分19秒差をつけられ総合5位に後退。そして、第15ステージでついにリタイアを決断しました。

メルクスの圧勝と4連覇達成

オカーニャの脱落により、メルクスはさらに勢いを増し、第17ステージを終えた時点でギマールに7分58秒差をつける圧倒的なリードを築きました。さらに、第18ステージではギマールもリタイア。ライバルたちが次々と姿を消していく中、メルクスは最終的に圧勝し、史上2人目のツール・ド・フランス4連覇を達成。さらに、2度目のダブルツール制覇という偉業も成し遂げました。

この大会は、エディ・メルクスの圧倒的な強さと、ルイス・オカーニャをはじめとするライバルたちの挑戦、そして過酷なレース展開が繰り広げられた記憶に残る大会となりました。

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