ツール・ド・フランス1977

ツール・ド・フランス1977：激戦とドラマの舞台

1977年のツール・ド・フランスは、第64回目の開催となる自転車ロードレース大会です。6月30日から7月24日まで、全22ステージにわたって熱戦が繰り広げられました。

見どころ

この大会の最大の注目点は、エディ・メルクスの出場でした。昨年はチームの出場が叶わず、自身も出場を阻まれていましたが、フィアットに移籍し、2年ぶりにツールに戻ってきました。しかし、この1977年大会が、メルクスにとって最後のツール出場となりました。

優勝争いの中心となるのは、ルシアン・バンインプ、ベルナール・テブネ、ヨープ・ズートメルク、ジョアキン・アゴスティーニョといった強豪選手たち。混戦が予想される中、誰がマイヨ・ジョーヌを獲得するのか、目が離せない展開となりました。

大会概要

大会序盤は、ディートリッヒ・テュラウが圧倒的な力を見せつけました。第1ステージからマイヨ・ジョーヌを着用し、その存在感を示しました。また、メルクスも近年の不調を払拭するかのような走りを見せ、往年のファンを沸かせました。

今大会の特徴として、難易度の高い山岳ステージが比較的少なかったことが挙げられます。そのため、近年稀に見るほど、中盤まで順位の変動が少ない大会となりました。

第14ステージを終えた時点での総合順位は、テュラウが首位。51秒差でメルクス、1分22秒差でテブネ、1分40秒差でハニー・クイパーが続き、バンインプが2分15秒差の6位、ズートメルクが3分40秒差の10位につけていました。しかし、タイム差は僅差であり、どの選手にも優勝のチャンスが残されていました。

状況が大きく変わったのは、第15ステージの後半です。区間3位に入ったズートメルクがドーピング検査で陽性となり、区間順位が取り消されました。さらに、総合タイムには完走タイムに10分加算というペナルティが課せられました。上位陣のタイム差が僅少な今大会において、このペナルティは致命的であり、ズートメルクは事実上、脱落となりました。

このステージでは、テブネがテュラウを僅かに抑え、マイヨ・ジョーヌを奪取しました。しかし、テュラウとの差はわずか11秒。3位のメルクスが25秒差、区間優勝を果たした総合4位のバンインプが33秒差、クイパーが49秒差で続くという、依然として大混戦の状態が続いていました。

第17ステージのラルプ・デュエズでは、波乱が巻き起こりました。バンインプが伴走車と接触し、転倒するアクシデントが発生。区間3位で2分6秒差、総合でも1分58秒差の3位につけましたが、もし転倒がなければ区間優勝、さらにはマイヨ・ジョーヌ奪回も可能だったかもしれません。クイパーがこの区間を制し、テブネも41秒差で2位に入り、マイヨ・ジョーヌのテブネと2位のクイパーとのタイム差はわずか8秒となりました。

一方、ここまで健闘を見せていたテュラウとメルクスは、このステージで12分以上の差をつけられ、大きく後退しました。メルクスにとって最初で最後のラルプ・デュエズでしたが、全盛期の頃の力は発揮できませんでした。

第18ステージでは、総合順位に変動はありませんでしたが、区間1位のアゴスティーニョと2位のメンデスがドーピング検査で陽性となり、区間順位を剥奪されました。2人もズートメルクと同様に10分のペナルティが加算されることになりました。

第20ステージの個人タイムトライアルでは、テブネがクイパーに28秒、バンインプに1分24秒差をつけて区間優勝。クイパーとの差を36秒差にまで広げましたが、今大会は最終ステージの前半にも6kmの個人タイムトライアルが設けられており、真の決着は最終ステージに持ち越されることになりました。

最終ステージ前半の個人タイムトライアルでは、テュラウが意地を見せて区間優勝を果たしましたが、テブネがクイパーに12秒差をつけ、ついにマイヨ・ジョーヌ争いに決着がつきました。テブネが2度目の総合優勝を果たし、1977年のツール・ド・フランスは幕を閉じました。

総合1位と2位のタイム差はわずか48秒であり、これはツール・ド・フランス史上2番目に僅少なタイム差となりました。

もう一度検索