ツール・ド・フランス1988

ツール・ド・フランス1988：波乱とデルガドの戴冠

1988年のツール・ド・フランスは、第75回目の記念すべき大会として、7月4日から7月24日までの期間に全21ステージで開催されました。しかし、事前の予想を大きく裏切る波乱の展開となり、記憶に残る大会となりました。

大会前の注目

前年、見事トリプルクラウンを達成したステファン・ロッシュは、膝の故障により今大会を欠場することとなりました。そのため、昨年の大会で総合優勝まであと一歩と迫ったジャンフランソワ・ベルナールが、グレッグ・レモンのPDMへの移籍に伴い、東芝チームの真のエースとして大会に臨むことになりました。

また、ローラン・フィニョンも有力候補として挙げられ、フランス人選手同士によるマイヨ・ジョーヌ争いが期待されていました。しかし、大会は全く予想外の展開を見せ、フランスのファンを大いに落胆させることとなります。

大会の展開

序盤の第2ステージ、チームタイムトライアルにおいて、フィニョンが昨年に引き続き大きく失速。この時点で、フィニョンの総合優勝は絶望的という流れになってしまいました。

一方、昨年の同大会で個人タイムトライアル2勝を挙げたベルナールも、今大会では不調。上位進出が期待された第6ステージの個人タイムトライアルでは、区間9位に終わり、総合でも5位にとどまりました。

第8ステージを終え、マイヨ・ジョーヌはスティーブ・バウアーの手に渡りますが、11位のペドロ・デルガドまでの差はわずか1分台。続くアルプスステージが、大きな勝負の分かれ目となりました。

アルプスステージに入ってもしばらくは、牽制し合うような状況が続きましたが、期待されたフィニョン、ベルナールは苦戦を強いられます。そして、本格的な動きが見られたのは、第12ステージのラルプ・デュエズでした。

このステージで、フィニョンがついにリタイア。ベルナールも、区間優勝のスティーブン・ルークスに対し22分4秒差という大惨敗を喫し、区間82位に沈みました。一方、デルガドはルークスに23秒差の区間3位でフィニッシュ。ここで、マイヨ・ジョーヌはデルガドの手に渡りました。バウアーは総合2位に後退したものの、デルガドとの差は25秒。総合3位のパラとの差は1分20秒、総合4位のルークスとは1分38秒差、総合5位のルイス・エレラとは2分25秒差と、上位陣はほとんどがクライマーでした。

第13ステージは個人タイムトライアル。大方の予想を覆し、デルガドが区間優勝を果たします。ここで、総合2位のルークスに2分47秒の差をつけました。このデルガドの区間優勝が、結果的に総合優勝を大きく左右することになります。

デルガドは、続く第14・15ステージでも着実にライバルとの差を広げました。この時点で、ルークスとの差は4分6秒。この後には第19ステージに山岳ステージが残るのみとなり、早くもデルガドの優勝は決定的という声が大きくなりました。一方、第15ステージでは、ベルナールがついにリタイアを余儀なくされました。

デルガドはその後も危なげなくレースを進め、終わってみれば2位のルークスに7分以上の差をつける圧勝で総合優勝を飾りました。もともとは単なるクライマーと見られていたデルガドが、今大会では総合的な力を発揮し、見事総合優勝を勝ち取ったのです。

デルガドの戴冠

ペドロ・デルガドの総合優勝は、事前の予想を覆すものであり、クライマーとしての才能に加え、タイムトライアルでの成長を見せつけた結果となりました。また、ライバルたちの不調やリタイアが相次いだことも、デルガドの勝利を後押ししたと言えるでしょう。

1988年のツール・ド・フランスは、数々のドラマと波乱に満ちた大会として、その名を歴史に刻みました。


総合成績

総合成績はツール・ド・フランス公式サイトなどをご参照ください。

外部リンク

第75回 ツール・ド・フランス 1988（フランス語）

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