マイヨ・ヴェール

マイヨ・ヴェール：ツール・ド・フランスの緑色のジャージ

マイヨ・ヴェール（maillot vert）は、自転車ロードレースの最高峰、ツール・ド・フランスにおいて、ポイント賞の選手に与えられる栄誉あるジャージです。この緑色のジャージは、単なる勝利の証ではなく、レースの歴史と深く結びついた特別な意味を持っています。

ポイント賞とは

ポイント賞は、各ステージのゴール地点や、ステージ途中に設けられた中間スプリント地点での通過順位に応じて与えられるポイントの合計を競うものです。スプリント能力に長けた選手や、安定して上位でゴールできる選手が、マイヨ・ヴェール獲得を目指して競い合います。

マイヨ・ヴェールの歴史

マイヨ・ヴェールが初めて登場したのは、ツール・ド・フランス50周年を記念した1953年です。その鮮やかな緑色は、当時のスポンサーであった園芸用品メーカー「ベル・ジャルディニエール」の芝刈り機の色に由来します。以来、スポンサーが何度か交代しても、マイヨ・ヴェールの色は緑色として定着しました。ただし、1968年には一度だけ、スポンサーの意向により赤色になったことがあります。

1991年から2014年までの24年間は、フランスの競馬施行体であるフランスギャロとシュヴァルフランセの場外馬券販売組織「PMU」（Pari mutuel urbain）がスポンサーを務めました。PMUのスポンサー撤退後、2015年からはチェコの自動車メーカー、シュコダ・オートがマイヨ・ブラン（新人賞）のスポンサーから「昇格」し、マイヨ・ヴェールのスポンサーとなりました。

マイヨ・ヴェールを巡るエピソード

2006年には、PMUのキャラバン隊が配布していた大きな手の形をした段ボール製の応援グッズに、マイヨ・ヴェールを狙っていたトル・フースホフト選手が接触し、右腕を3針縫う怪我を負うというアクシデントがありました。この事故を受け、2008年からは応援グッズの素材がウレタン製に変更され、安全性が向上しました。

また、2008年からは、マイヨ・ヴェールの色も少し明るい色に変更されています。

ツール・ド・フランスのその他の賞

ツール・ド・フランスには、マイヨ・ヴェール以外にも、様々な賞が存在します。

マイヨ・ジョーヌ（個人総合）: 総合タイムが最も短い選手に与えられる黄色いジャージ。
マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ（山岳賞）: 山岳ステージの成績に応じて与えられる赤い水玉模様のジャージ。
* マイヨ・ブラン（新人賞）: 25歳以下の選手の中で、総合タイムが最も短い選手に与えられる白いジャージ。

これらの賞も、マイヨ・ヴェールと同様に、ツール・ド・フランスのレースを彩る重要な要素となっています。

マイヨ・ヴェールは、スプリンターたちのプライドをかけた戦いの象徴であり、ツール・ド・フランスの歴史と伝統を体現する特別なジャージなのです。

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