ティシュリー

ティシュリー（Tishrei）は、ユダヤ暦における月の名称です。その起源はバビロニア暦の「Tashritu」に遡ります。バビロン捕囚以前は「エタニム（Ethanim）」と呼ばれていました。現代のユダヤ暦では、政治暦と宗教暦の二つの数え方が存在し、ティシュリーは政治暦では1月、宗教暦ではニサンの月から数えて7月に当たります。詳細はユダヤ暦の項目を参照ください。

ティシュリーの月の長さは30日間です。グレゴリオ暦に換算すると、おおよそ9月から10月にかけての期間に相当します。この月は、ユダヤ教徒にとって非常に重要な祭日が集中している時期であり、特に1日から10日までの10日間は「畏れの日々（ヤミーム・ノライーム）」と呼ばれ、特別な意味を持つ期間とされています。

この月の主な行事としては、以下のようなものが挙げられます。

1日、2日：新年祭（ローシュ・ハッシャーナー）
ユダヤ暦の新年を祝う祭りで、この日を境に新たな年が始まります。家族や共同体で集まり、特別な食事をしたり、祈りを捧げたりします。
3日：ゲダリヤの断食
預言者ゲダリヤの暗殺を悼む断食日です。
9日：贖罪式（カッパーラ）
大贖罪日（ヨム・キプール）の前日に行われる儀式です。
10日：大贖罪日（ヨム・キプール）
一年で最も神聖な日とされ、断食と悔い改めを行う日です。過去の罪を悔い、神の赦しを請います。
15日～21日：仮庵の祭り（スコット）
荒野での放浪生活を記念する祭りです。仮庵と呼ばれる仮設の小屋を建て、その中で生活を送ります。
21日：ホシャナ・ラバ
仮庵の祭りの最終日であり、一連の祭りの締めくくりとなる日です。祈りや儀式が執り行われます。
22日：律法歓喜祭（スィムハット・トーラー）
一年かけて読み終えた律法の巻物を祝い、再び読み始める日です。歌や踊りが行われます。

ティシュリーは、ユダヤ教徒にとって、自己を見つめ直し、神との関係を深めるための重要な月です。多くの祭日を通して、過去を振り返り、未来への希望を抱く機会となります。


[関連項目]
ユダヤ暦
* ユダヤ教の祝祭日

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