ティボー4世 (ブロワ伯)

ティボー4世：ブロワ、シャルトル、シャンパーニュを統べた伯

ティボー4世（1090年/1095年 - 1152年1月10日）は、ブロワ伯およびシャルトル伯として知られ、さらにシャンパーニュ伯（ティボー2世）の地位も兼ね備えた、12世紀フランスの重要な貴族です。その影響力の大きさから、「ティボー大伯」とも呼ばれました。

生涯

ティボー4世は、ブロワ伯エティエンヌ2世と、イングランド王ウィリアム1世（征服王）の娘アデル・ド・ノルマンディーの間に次男として生まれました。兄ギヨームが伯位を継承できなかったため、1102年に父の死後、ブロワ伯位を継承しました。さらに、1125年には叔父のシャンパーニュ伯ユーグが亡くなったため、シャンパーニュ伯位も引き継ぎました。

母アデルは、1101年からティボー4世が騎士に叙任される1107年まで、伯領の摂政として政治を主導しました。その後は母子が共同で統治を行いましたが、1120年にアデルが修道院に引退すると、ティボー4世が単独で伯領を治めることになりました。

ティボー4世は、フランス王家との関係において複雑な立場にありました。当初、彼はルイ王太子に対する反乱に加わりましたが、後にルイ6世との関係は悪化し、潜在的な紛争状態となりました。しかし、イングランド王ヘンリー1世との同盟を通じて、カペー家やアンジュー家に対抗しました。

1135年にヘンリー1世が亡くなると、ノルマンディーの男爵たちはティボー4世に自分たちの君主になることを要請しました。しかし、彼の弟エティエンヌがイングランド王として戴冠したため、この計画は実現しませんでした。スティーブン王は、ティボー4世のイングランド王位請求権への補償として、年金を付与しました。

ティボー4世は、その影響力と能力により、シャンパーニュ地方におけるトロワ伯領を拡大し、トロワを自身の領地の首都としました。彼はフランス王国の有力貴族の一人としての地位を確立しました。

しかし、ルイ7世との関係は良好とは言えませんでした。ティボー4世がポワティエ遠征やトゥールーズ伯領遠征に反対したことがルイ7世の怒りを買い、ブールジュ大司教の人事を巡る対立も重なり、両者の関係はさらに悪化しました。ルイ7世は妹エレオノールとラウル1世を離婚させ、王妃アリエノールの妹ペトロニーユとラウル1世を再婚させたことで、ティボー4世を激怒させました。

1143年、ルイ7世はシャンパーニュ伯領に侵攻し、ヴィトリー＝アン＝ペルトワを焼き討ちしました。この際、教会に避難した住民1000人以上が焼死するという悲劇が起こりました。窮地に陥ったティボー4世を救ったのは、シュジェールとベルナルドゥスでした。彼らの仲介により、1144年にルイ7世との和睦が成立し、ティボー4世は征服された領地を取り戻しました。

1152年1月、ティボー4世は亡くなり、シャンパーニュ北西部の国境地帯、ブリー地方のサン・ピエール修道院に埋葬されました。

子女

ティボー4世は、1123年にケルンテン公エンゲルベルトの娘マティルド・ド・カランティと結婚し、多くの子をもうけました。

アンリ1世 - シャンパーニュ伯
マリー - ブルゴーニュ公ウード2世妃
ティボー5世 - ブロワ伯
イザベル - プッリャ公ルッジェーロ3世妃
エティエンヌ1世 - サンセール伯
ギヨーム - ランス大司教、枢機卿
マティルド - ペルシュ伯ロトルー4世妃
アニェス - バル伯ルノー2世妃
アデル - フランス王ルイ7世妃
マルグリット - フォントヴロー修道院の修道女

また、庶子として修道士となったユーグがいます。

ティボー4世は、その生涯を通じて、ブロワ、シャルトル、シャンパーニュという広大な領地を統治し、フランス王家との複雑な関係を築きながら、自らの勢力を拡大しました。彼の遺産は、その子供たちによって受け継がれ、後の歴史に大きな影響を与えました。

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