ティモステネス

ロドスのティモステネス

ロドス出身のティモステネスは、紀元前270年頃に活動していた古代ギリシアの航海士および地理学者として知られています。彼は、プトレマイオス朝エジプトの王、プトレマイオス2世の下で、海軍指揮官や水先人の長という重要な役割を果たしました。この時代背景の中で、ティモステネスは航海術に関する書物を著し、特に「ペリプルス」という10巻からなる作品がありました。この作品は後に失われてしまいましたが、エラトステネスやストラボンなどの他の著名な地理学者によって引用・尊敬されました。

ティモステネスに関する興味深い逸話として、ヘラクレアのマルキアノスはエラトステネスの『地理学』に対し、ティモステネスの業績がそのまま取り込まれていると非難したという点があります。このことからも、彼の業績が古代ギリシアの地理学においてどれだけ重要だったのかが伺えます。ストラボンはまた、エラトステネスがティモステネスの意見を他の著述家よりも好んでいたことも言及していますが、彼に対して一定の異論も存在し、その評価は一様ではなかったことも特徴的です。

後に登場するギリシャの地理学者、アガテメロスによれば、ティモステネスは従来の8方向の風向に4方向を加えた12方向の風向の体系を作成しました。これは古代ギリシアにおいて風向を示す標準的な12方位を導入するものであり、地理学における砥石のような役割を果たしました。彼は風向を単なる気象現象として捉えるのではなく、地理の方位を明示するための手段として利用しようとしたことで、最初の試みを行った地理学者とされています。これにより、彼は古代の科学の発展に寄与したといえるでしょう。

また、ストラボンの記録によると、ティモステネスはデルポイのピューティア大祭において、「ピューティア調」の音楽作品を作曲したことでも知られています。この歌曲はフルートとキタラの伴奏で演奏され、アポローン神と大蛇ピュートーンとの伝説的な対決を祝うものであったとされています。

彼の名は現代にも息づいており、南極大陸には「ティモステネス山」と名付けられた山があります。このように、ロドスのティモステネスは、その名が永遠に語り継がれる古代ギリシアの重要な地理学者であり、航海士として、古代文化の一端を形成する役割を果たしました。彼の影響は今なお多くの分野で見られ、古代ギリシアの知識と信念の深さを示す例といえるでしょう。

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