ティースバンク

ティースバンク：未来の歯のために

ティースバンクとは、歯の保存と移植を専門とする機関です。矯正治療や親知らずの抜歯などで健康な歯を抜き、将来の歯の移植に備えて冷凍保存します。まるで銀行に預金をするように、自分の歯を「預けて」おくことができる画期的なシステムです。

ティースバンクの事業は、2004年に開始されました。抜去された歯は、水分子を分散させる特殊な冷凍技術（CAS冷凍）を用いて保存されます。この技術により、歯の組織を可能な限り良好な状態で維持することができ、将来の移植に適した状態を保てます。

どのような歯が保存できるのか？

原則として、健康な歯根膜を持つ歯であれば、保存が可能です。具体的には、親知らずや矯正治療で抜かれた小臼歯などが該当します。保存できる歯の種類や部位に特別な制限はありません。しかし、重度の全身疾患や糖尿病、歯周病などがある場合は、冷凍保存や移植ができない場合があります。医師の判断が重要となります。

移植について

ティースバンクで保存された歯は、将来、虫歯や歯周病などで自分の歯を失った際に、移植に使用することができます。自身の歯を移植するため、拒絶反応の心配が少なく、体に優しい治療法です。自家歯牙移植は、保険が適用される治療行為です。

他者への移植は可能か？

残念ながら、現在の日本の薬事法では、移植に使用できる歯は「本人自身の歯」に限定されています。他者への歯の移植は、現時点では認められていません。これは、生物製剤に関する規制によるものです。

ティースバンクの現状

ティースバンクでは、多くの歯が冷凍保存されています。初期の段階では、年間の保存本数は限られていましたが、近年ではより多くの歯が保存され、移植手術も増加しています。

他の組織バンクとの関連性

ティースバンクは、アイバンクや骨バンク、骨髄バンク、さい帯血バンクなど、他の組織バンクと同様の役割を担っています。いずれも、将来の医療に役立つ組織を保存し、必要とする人に提供するためのシステムです。これらは再生医療の発展に大きく貢献しています。

まとめ

ティースバンクは、将来の歯の移植に備えて、健康な歯を冷凍保存するシステムです。自身の歯を大切に保存し、健康な口腔環境を維持するための選択肢として、注目されています。ただし、適用には制限があるため、医師との十分な相談が必要です。

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